北米

2025.09.18 15:00

トランプ、ニューヨーク・タイムズと記者を相手取り約2.2兆円規模の名誉毀損訴訟

Kevin Dietsch/Getty Images

エプスタインへの誕生日メッセージの署名報道を巡り、撤回と謝罪を要求

この名誉毀損訴訟は、ジェフリー・エプスタインに贈られた卑猥なイラストと誕生日メッセージについての記事をニューヨーク・タイムズが掲載した数日後に起こされたものだ。そのメッセージは、性犯罪で有罪となったエプスタインの50歳の誕生日を記念したバースデーブックの中に存在していたとされ、先週下院監視委員会によってスキャン画像が公開された。しかしトランプはその署名を否定し、ホワイトハウスもその真正性に疑問を呈した。ニューヨーク・タイムズは、1987年から2001年にかけてトランプがニューヨーク市当局に送った書簡にある署名と非常によく似ているとして署名を分析する記事を掲載した。同紙によると、トランプの個人弁護士は「悪意ある捏造の証拠だ」と主張して記事に抗議し、撤回と謝罪を要求したという。

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ウォール・ストリート・ジャーナルに対する1.4兆円訴訟

エプスタインのバースデーブックとトランプのメッセージに関する最初の報道は、7月にウォール・ストリート・ジャーナルが行った。当時の報道は、メモの内容を文字で説明するのみで画像は含まれていなかった。トランプはその信憑性を否定し「ウォール・ストリート・ジャーナルは、エプスタイン宛ての偽の手紙を掲載した。これは私の言葉ではないし、私の話し方でもない。私は絵も描かない」と述べた。さらに、メディア王ルパート・マードックにこの件を「詐欺だ」と伝え、「奴と三流新聞を訴えてやる」とも述べた。その後、トランプはフロリダ南部地区連邦地裁において、マードックと同紙の発行元ダウ・ジョーンズを相手取り100億ドル(約1兆4700億円)の名誉毀損訴訟を提起し、発言を実行に移した。

編集操作や発言を巡り過去に訴訟、CBSは和解金、ABCは寄付で決着

7月には、放送局CBSを傘下に持つ親会社パラマウント・グローバル(現パラマウント・スカイダンス・コーポレーション)が、トランプとの間で1600万ドル(約23億5000万円)の和解に達したと発表した。大統領は、昨年の選挙前に放送されたCBSニュース『60 Minutes』におけるカマラ・ハリスへのインタビューについて訴訟を起こしていた。トランプは、CBSニュースが意図的に編集を行い、民主党候補の回答がより有能に見えるように仕組んだと主張した。和解から数週間後、パラマウントによるスカイダンスとの80億ドル(約1兆1800億円)規模の合併は連邦通信委員会(FCC)によって承認された。

昨年末には、ABCニュースも、ニュースキャスターのジョージ・ステファノプロスがトランプは「レイプで」法的責任を問われたと述べた発言に関連した訴訟を和解した。実際には、陪審団が認定したのは作家E・ジーン・キャロルへの性的暴行であった。和解の一環として、ABCニュースは遺憾の意を表明し、トランプの大統領図書館に1500万ドル(約22億300万円)を寄付することに同意した。

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forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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