クレムリンは微妙なバランスを取ることを強いられている。ウクライナでの戦費が膨れ上がる一方、経済への圧力も高まっている。ロシア中央銀行はこれまで経済の安定化で巧みな手腕を発揮してきたものの、使える手段には限界がある。インフレを抑制するための高金利によって企業はすでに圧迫されており、燃料価格の上昇は一段の重圧となり、バランスを崩しかねない。
こうしたドローン攻撃だけで戦争が決するわけではないにせよ、それは戦争の行く末を左右することになる。ウクライナは、ロシアの経済の中枢に打撃を与え、ロシアの戦争機構を支える収入を蝕めることを示してきた。
プーチンはよく自身をツァーリ(皇帝)の系譜に位置づけ、帝国を取り戻す存在と見なしたがる。だが、「皇帝」というのであれば、彼は第一次世界大戦時のロシア皇帝であるニコライ2世のことを思い起こすべきだろう。当時もまた、過度に拡張した戦線や国内での物資欠乏のために、国内の社会不安が国外の敵と同じくらい危険なものになっていた。


