手動巻き上げ式ウインドウやシガーライターと同じく、現在販売されている新車でマニュアルトランスミッション(MT)は絶滅危惧種となっている。この潮流は、1939年にゼネラルモータースが史上初の量産オートマチックトランスミッション(AT)をオールズモビルの1940年モデルに導入し、ドライバーをシフトレバーとクラッチを操作する作業から解放した時まで遡ることができる。
スティックシフト(米国でMTのこと)は、それから衰退の一途をたどった。1980年代には米国の新車市場で35%を占めていたMT車は、2024年になるとわずか0.8%まで激減した。
実際、新車を購入する人でクラッチの操作の仕方を覚えている人は少数だ。これまで人生のどこかで、マニュアルシフトのやり方を学んだことがある人でさえ、大半が今ではATを好むようになっている。だが、それにはもっともな理由がある。現在のATは、6速から8速が一般的で、さらには10速以上の前進用ギアを備えている車種もあり、従来よりも滑らかに効率よくギアを切り替えられるようになっている。燃費も大幅に改善された。かつてMT車は同型のAT車よりもわずかに燃費がよかったが、現在では逆転している。
それでも時には自分でギアチェンジしたいという人のために、現在のATの多くは、センターコンソールのレバーやレーシングカーのようなステアリングホイールに備わるパドルで、マニュアルシフトもできるようになっている。
ATの中には「CVT(無段変速機)」と呼ばれる仕組みを採用したものもある。これは複数の固定ギアを切り替える代わりに、ベルトで連結された2つの可変径プーリーを組み合わせて変速を行う。さらに、ほとんどの電気自動車(EV)は1段の前進ギアのみを備え、トランスミッション(変速機)を持たない。電気モーターは回転の立ち上がり時に最大トルクを発生するという特性から、基本的に複数のギアを切り替える必要がないためだ。



