アップルが今年発表したiPhoneは従来のPro/Pro Max路線に加え、新コンセプトのiPhone Airが登場した。
“17”というナンバーだけが与えられたスタンダードモデルは、従来以上に幅広いユーザーにとって最適な選択肢となる一方、より積極的に上位モデルを狙うユーザーは、異なる二つの方向性から選択することになる。
iPhone 17 Pro(6.3インチ)とiPhone 17 Pro Max(6.9インチ)は、これまでの延長線上にある順当な進化を遂げた一方で、iPhone Air(6.5インチ)はアップル曰く「未来のかけら」のような製品だ。
どちらも同じく大幅に高性能化が図られ、A19 Proチップを搭載しながら、目指している方向性は大きく異なる。
スタンダードと上位モデルといった関係ではなく、まったく異なる関係となるiPhone Airの位置づけを探ってみたい。

洗練されたeSIMの扱い。旅行時はメリットも
各製品に言及する前に、まず今回発表された全モデルがeSIM専用になったことについて触れておきたい。グローバル全体では、iPhone Air以外のモデルに物理SIMモデルも用意されているが、日本市場向けはすべてeSIMとなった。
この選択は携帯電話キャリアとの調整の結果だろうが、今後を考えれば利点が大きい。
工具を使わず簡単に契約の移し替えが可能で、データ通信契約を追加したり、海外旅行時の現地事業者との契約とSIMの設定などがソフトウェア化されれば、使いこなしのハードルは大きく下がる。
この決定に対する反発ももちろんある。
法人利用で物理的なSIMカードで従業員の通信用サービスを管理している例や、まだeSIMに対応していない格安SIM契約を利用している層からすれば、「選択肢を奪われた」と感じるかもしれない。
しかし、いったん使い始めればeSIM完全移行は想像以上にメリットが大きいことがわかるはずだ。現在非対応の格安SIM契約の事業者にも、いずれはeSIM対応は進む。
最も顕著な改善を感じるのは海外利用時だ。
従来は現地でSIMカードを購入し、物理的に交換する必要があったが、新しいiPhoneでは事前に契約したeSIMが位置情報に応じて自動的に切り替わる。海外の空港に到着した瞬間から現地の通信網に接続され、帰国するといつものネットワークに戻る体験は、まさに「シームレス」という言葉がふさわしい。



