映画

2025.09.19 18:00

アマゾン・プライム・ビデオのベスト映画10本──批評サイト「ロッテントマト」で高評価

gguy / Shutterstock.com

2.『ブロー・ザ・マン・ダウン〜女たちの協定〜』(Blow the Man Down)(2019) 123件のレビュー、支持率99%

ブロー・ザ・マン・ダウン〜女たちの協定〜』には、A24の秀逸なラインアップを思わせる要素が数多くある。ジャンルを横断しつつ女性の視点を据える(『ウィッチ』[The VVitch]、『レディ・バード』[Lady Bird]、『ゾラ』[Zola])、孤を雰囲気づくりに活かす(『ライトハウス』[The Lighthouse]、『グリーン・ナイト』[The Green Knight]、『イット・カムズ・アット・ナイト』[It Comes at Night])、母権的な力と隠れた支配構造(『ヘレディタリー/継承』[Hereditary]、『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』[The Killing of a Sacred Deer]、『Pearl パール』[Pearl])——挙げればきりがない。この過小評価されたスリラーは批評家を魅了したが、アマゾン・プライム・ビデオの作品群の海に埋もれ、時代精神をつかみ切れなかったように見える。未見であれば今が好機だ。

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物語は、母の急逝後、メイン州イースター・コーブで家業の漁業を維持しようともがく姉妹、メアリー・ベス(モーガン・セイラー)とプリシラ・コノリー(ソフィー・ロウ)を中心に進む。さらに悪いことに、メアリー・ベスが見知らぬ男と暴力的な揉め事に巻き込まれ、殺人に至る。姉妹は遺体を処理し証拠を消そうとするが、その過程で地域社会のより深く暗い秘密が露わになる。そこから、町を陰で取り仕切る年配の女傑たち(ジューン・スキッブ、アネット・オトゥール、マーセリン・ヒューゴット)や、冷酷で計算高い売春宿の経営者イニッド(マーゴ・マーティンデイル)と対峙することを余儀なくされる。ブリジット・サヴェージ・コールとダニエル・クルーディの共同脚本・監督による本作は、フェミニンなひねりを利かせた現代ノワールであり、空気感のあるカメラとフレーミング、そしてジョーダン・ダイクストラとブライアン・マコーマーによる、陰鬱な弦と海の民謡を融合させた魅了的なスコアが際立つ。ロウとセイラーの地に足のついたが様式化された演技も優れているが、町の道徳的腐臭の錨となる威圧的な力を体現したマーティンデイルが見事に作品を支配している。

3.『Short Term 12』(2013) 174件のレビュー、支持率98%(日本での配信なし)

『Short Term 12』の着想と製作過程は、すべてのインディー映画志望者に励ましを与える。原点は監督デスティン・ダニエル・クレットンによる短編であり、彼が実際に問題を抱える若者のグループホームで働いた経験を脚本に取り入れて長編化した。小規模なプロジェクトは2008年のサンダンス映画祭で審査員賞を獲得し、わずか20日間の撮影で低予算の長編映画へと結実した。その成果は、Rotten Tomatoesで最高評価に数えられる映画の一つであり、のちにアカデミー主演女優賞を受ける俳優をスターに押し上げた作品でもある。物語は、恋人で同僚のメイソン(ジョン・ギャラガー・ジュニア)とともに、リスクの高いティーンのためのシェルターで働く、有能だが感情を固く閉ざした監督補佐グレース(ブリー・ラーソン)を追う。

ある日、新入りのジェイデン(ケイトリン・デヴァー)がやって来て、グレースに自身の過去の未解決のトラウマと向き合うことを強いる。同時に、入居者のマーカス(ラキース・スタンフィールド)は18歳の誕生日を前に、制度から卒業させられることへの恐れに苦しむ。この人間模様のコラージュは、どんでん返しやメロドラマに頼らず、ハードボイルドな美学、エピソード的構成、親密なアプローチで成立している。撮影監督ブレット・パウラックによるドキュメンタリー風の手持ちカメラは、わずかな揺れや自然な動きをとらえ、グループホームの日常のリズムに観客を没入させる。結果として本作は、トラウマと癒やしの循環性、人はしばしば自身の痛みに向き合うより他者を助ける道を選ぶ——そしてその代償——についての普遍的な映画となっている。

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4.『Hundreds of Beavers』(2024) 108件のレビュー、支持率97%(日本での配信なし)

『Hundreds of Beavers』のばかげた筋立てと弾けたエネルギーを、作り話のように聞こえないように説明するのはほとんど不可能に思える——だがやってみる。白黒、ほぼセリフなし、スラップスティックの叙事詩で、毛皮猟師が、漫画のように殺人的なビーバーの軍勢と雪原で戦う物語である。にもかかわらず、Rotten Tomatoes上のほぼすべての批評家が一致して称賛し——前代未聞の出来だと口を揃える——まるでルーニー・チューンズが無声のバスター・キートン風作品と衝突し、さらに『死霊のはらわたII』[Evil Dead II]を100回観た誰かの脳内を通過したかのようだ。要するに、アマゾン・プライム・ビデオの加入者なら見逃す手はない。中心にいる(ある者は彼をコメディの天才と呼ぶ)ライランド・ブリクソン・コール・テューズは、監督マイク・チェスリックと共同で脚本を執筆し、文字通り全身全霊を投じる。

丸太にたたきつけられ、木々に放り投げられ、雪に埋まり、明らかに人間がビーバーのスーツを着ていると分かる動物に追い回される。そして、それが飽きることはない。混沌の裏で、この野心的実験は緻密に組み上げられている——フィジカルなギャグは時計仕掛けのようにエスカレートし、構造とリズムがあり、実際に積み上がっていく。そしてこれは、最も賢い意味での「おバカ」だ。何よりも本気度の度合いが桁外れなのだ。制作陣の楽屋落ち的な振る舞いもない。関わる全員が本気で、だからこそうまく行っている。『Hundreds of Beavers』のように不条理な映画が、どうしてある種の美を帯びうるのかはわからないが、確かにそう感じられる。手づくりのカオスであり、絶対的に痛快である。

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翻訳=酒匂寛

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