保有資産が10億ドル（約1470億円。1ドル＝147円換算）を上回るビリオネアが、他人よりも資産が少ないと感じることはごく稀だろう。ただし、フォーブスが年に1度発表する米国の長者番付「フォーブス400」にランクインできないビリオネアは数多く存在する。米国のビリオネアの数は現在、過去最高となる900人に達しており、10億ドル（約1470億円）以上の資産を保有しつつも、上位400人のランキングに入れないビリオネアが500人もいる。
ランク入りに必要な資産が5600億円以上に
ここに食い込むのは、年を追うごとに困難になっている。1982年に、フォーブスが最初に発表した「フォーブス400」に名を連ねたビリオネアは20人にも満たず、必要な最低資産額はわずか1億ドル（約147億円）だった。しかし、40年を経た現在では、ランク入りに必要な資産は38億ドル（約5586億円）にまで跳ね上がり、前年から5億ドル（約735億円）増加した。また、昨年の掲載者の90％以上が今年もその座を守った。
それでも今年は資産37億ドル（約5439億円）でランク入りを逃したビリオネアが19人いる。その中には、デザインソフト企業Figmaの共同創業者ディラン・フィールド、アスレジャーブランドAlo Yogaの共同創業者ダニー・ハリスとマルコ・デジョージ、さらにAI大手Anthropicの共同創業者ダリオ・アモデイと同社の他の5人の共同創業者が含まれる（同社の7人目の共同創業者クリストファー・オラも資産37億ドル［約5439億円］だが、カナダ人であるためこの記事には含んでいない）。
「フォーブス400」入りを逃したビリオネアは11人、テイラー・スウィフトも
さらに、今年の資産が36億ドル（約5292億円）と算定され、2億ドル（約294億円）の差でランクを逃したビリオネアが11人いた。フォーブスの「世界のビリオネアリスト」には入っていても「フォーブス400」には届かない顔ぶれの中には、世界的な著名人が含まれている。複数のスキャンダルや法的トラブルで苦境に立つプロレス団体WWEを率いるビンス・マクマホンの資産はあと4億ドル（約588億円）足りず、オプラ・ウィンフリーはあと7億ドル（約1029億円）足りなかった。2023年に世界ツアー「エラズ・ツアー」の成功によってビリオネア入りしたテイラー・スウィフトは、その後さらに5億ドル（約735億円）の資産を追加したものの、「フォーブス400」に入るためには22億ドル（約3234億円）が足りなかった。
ここ最近、ビリオネアリストに加わったものの、今年の「フォーブス400」には届かなかった者としては、『サウスパーク』の制作者トレイ・パーカーとマット・ストーン（それぞれの純資産は12億ドル［約1764億円］）が挙げられる。そしてファストカジュアルのメキシカンレストランチェーン「チポトレ」の創業者スティーブ・エルスは、今年初めにビリオネアになったが、同チェーンの株価の低迷に伴いその地位を失った。
とはいえ、これらのビリオネアにも来年のチャンスは残されている。ロビンフッド共同創業者のブラッド・テネフ、ダッチ・ブロス・コーヒー共同創業者のトラビス・ブアズマを含む他の12人のビリオネアは、2025年に初めて「フォーブス400」入りを果たしている。
下記に、2025年の「フォーブス400」のランク入りを惜しくも逃した、米国の著名なビリオネアの一部を掲載する（資産額は2025年9月1日時点のもの）。
