宇宙

2025.09.17 12:30

10年に一度の天体ショー 直径158mの小惑星がまもなく地球を接近通過

Shutterstock.com

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フットボールのフィールド2面分をすっぽり覆うサイズの地球近傍小惑星(NEA)が、2025年9月18日(木)に地球を接近通過する。

最接近時の距離は地球から約84万kmで、月との平均距離の約2倍に相当する。地球に衝突する恐れはないが、これほどの大きさの天体がここまで地球に接近することはなかなかなく、注目されている。

小惑星「2025 FA22」の接近

天体観測サイトVirtual Telescope Projectの天文学者ジャンルカ・マシは、米航空宇宙局ジェット推進研究所(NASA JPL)の地球近傍天体研究センター(CNEOS)のデータを引用し、「完全に安全だが、それでも注目に値する。この規模の天体がこれほどまで接近する事例は、平均で10年に一度しか起こらない」と説明した。

小惑星「2025 FA22」から見た地球と月の位置関係(NASA's Eyes on Asteroids)
小惑星「2025 FA22」を視点とした地球と月の位置関係(NASA's Eyes on Asteroids)

今後地球に接近する5つの小惑星を紹介するJPLのウェブサイトによると、「2025 FA22」と命名されたこの地球近傍小惑星は、直径158m(編集部注:欧州宇宙機関(ESA)によれば直径130~290m)。地球に衝突すれば甚大な被害をもたらすとして監視対象となる「潜在的に危険な小惑星(PHA)」に分類されている。

5月まで衝突危険リストに掲載

ESAによると、2025 FA22は今年3月、ハワイに設置された全天観測望遠鏡「パンスターズ2(Pan-STARRS2:PS2)」の観測によって発見された。当初の軌道計算で2089年に地球に衝突する可能性が示されたことから、ただちにESAの小惑星衝突危険リストの最上位に躍り出た。しかし、複数の追加観測データを用いて軌道を再計算した結果、5月にリストから除外された。

小惑星「2025 FA22」の軌道を示した図(JPL Small-Body Database)
小惑星「2025 FA22」の軌道を示した図(JPL Small-Body Database Lookup)

英ロンドンの理工系名門大学インペリアル・カレッジ・ロンドン(ICL)が開発した「Earth Impact Effects Program(地球衝突影響プログラム)」の計算に基づくと、2025 FA22と同規模の石質(S型)小惑星が地球に衝突した場合、直径4キロのクレーターが生じるとみられる。

小惑星「2025 FA22」の観測方法とタイミング

2025 FA22は9月18日から22日にかけて13.2等級の明るさに達し、小型の家庭用望遠鏡でも観測が可能になる。

Virtual Telescope Projectでは、協定世界時(UTC)9月18日午前3時(日本時間正午)からオンライン観測会を開催し、イタリア・トスカーナ州マンチャーノに設置された自動望遠鏡のライブ映像を配信する予定だ。

(編集部注:ESAによれば地球最接近の時刻はUTC午前7時41分=日本時間午後4時41分)

欧州宇宙機関(ESA)による小惑星「2025 FA22」の地球接近に関するデータ(ESA)
欧州宇宙機関(ESA)による小惑星「2025 FA22」の地球接近に関するデータ(ESA)

今週の夜空

2025 FA22が地球に最接近する18日、日の出1時間前の東の空では「明けの明星」の金星の上方に繊細な二十六夜月がかかり、さらに上空に木星が光っている。金星のすぐ下にはしし座の1等星レグルスがあり、この2つの星は20日の明け方に大接近する。

2025年9月18日、日の出1時間前(東京:午前4時26分ごろ)の東の空。細い月の隣には、かに座のプレセペ星団が見える(Stellarium)
2025年9月18日、日の出1時間前(東京:午前4時26分ごろ)の東の空。細い月の隣には、かに座のプレセペ星団が見える(Stellarium)

また、21日に地球から見て太陽と正反対の位置関係にくる「衝(しょう)」を迎える土星は、日没の頃に東から昇って一晩じゅう明るく輝き、日の出の頃に西に沈む。翌22日は新月で、南半球のニュージーランド、南太平洋西部、南極大陸では部分日食が見られる。

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翻訳・編集=荻原藤緒

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