ウクライナ側はこの方面への増援として国家親衛隊の第1軍団「アゾフ」を派遣し、ここ数週間の反撃によってロシア軍の足場を着実に削り取っている。陸軍の第93独立機械化旅団「ホロドニー・ヤール」は偵察部隊や砲兵部隊、ドローン(無人機)の支援を受けつつ、ドブロピルリャ郊外のフルジケ村とベセレ村を数日で奪還した。第93旅団はまた、機関銃を搭載した無人車両も投入してロシア軍の陣地に直接射撃を加え、前進を確保している。
ウクライナ軍は現在、ドブロピルリャ近辺のロシア軍突出部に対して西側と北側からの挟撃作戦を進めている。形成されつつある「大釜」はロシア軍部隊を、投降するか殲滅されるか以外、ほとんど選択肢がない状況に追い込むことになる。
英国の元軍人で2022年にドネツク州南部のマリウポリで戦ったショーン・ピナーはこう解説する。「ロシア軍は側面を確保せず強引に突き進んだ結果、前線が過剰に引き伸ばされ、多大な人的損害を被り、いったん得た戦果の多くを固めるのに失敗しています」。ポクロウシク方面には複数の防御線が構築されており、市内にも設けられている。
ポクロウシク周辺は地形も過酷だ。もともとは耕作地だった開けた土地が広がり、天然の遮蔽物はほとんどなく、雨が降ればすぐにぬかるみと化す。「迅速で整然とした前進ができるような環境ではありません」とピナーは筆者に語った。
ポクロウシク方面で戦う無人システム軍第413独立無人システム大隊のディムコ・ジュルクテンコはこう述べている。「ポクロウシクやドブロピルリャでロシア軍は最近前進しましたが、彼らにとくに変わったところがあるわけではありません。多数の部隊がいて、非常に激しい戦闘が繰り広げられ、大量の人員が投入されています。ですが、2カ月前から劇的に変わったことはありません」
ロシア軍はまず、小規模な歩兵部隊を波状的に送り込んでウクライナ側の防御線に探りを入れ、続いてオートバイ部隊で突撃を仕掛けている。夏の濃い樹林帯が掩蔽物となり、これらの攻撃を隠蔽された状態で進めるのを助けている。


