ネット上の見え方を管理して主体性を取り戻す
フィルターなどで加工していない写真を使ったり、実際よりも控えめに自分を見せたりして意図的におとなしめにすることは、表面的な魅力にしか興味のない人を除外するのに役立つ。
このアプローチは、個性よりも外見を優先するスワイプ操作主導の文化に挑戦するものだ。ある意味、本当の自分を見せることで期待値を管理するのにも役立ち、不要な注目を抑止することでささやかな安全対策にもなる。
逆盛りは出会い系アプリへの不満やリスクに対抗するツール
要するに、逆盛りは出会い系アプリのユーザーが経験する多くの不満やリスクに対抗するツールとして機能するのだ。
専門誌『Journal of Gender, Culture and Society(ジャーナル・オブ・ジェンダー・カルチャー・アンド・ソサイエティ)』に2024年に掲載された研究では、女性が出会い系アプリに不満を抱く理由を探っている。
研究者たちは、多様な背景を持つ女性40人にZoom(ズーム)で詳細なインタビューを行った。これらのインタビュー内容は書き起こされ、共通のパターンと課題を明らかにするために、その会話はテーマ別に分析された。
その結果、出会い系アプリの使用では圧倒的にネガティブな経験が多いことが明らかになった。参加者の95%が出会い系アプリを利用する際に失望や不満を感じており、真剣な意思や本物のつながりがないことを挙げている。
約60%が危険を感じたり嫌がらせを受けたり、あるいは誇張を目の当たりにしたと述べており、こうしたプラットフォームにおける安全性への重大な懸念が浮き彫りになった。
トルコに住む26歳のモロッコ人女性はこう説明した。「出会い系アプリを使った経験はまったくいいものではなかった。新型コロナのパンデミック中に使い始め、その後も使った。多くの人と話したが、深く興味深い会話をしたのは1回だけだった。異なる相手と8回デートをしたもののどれもひどく、二度と会わなかった。楽しくなかったし、失望感でいっぱいだった」。
これらの調査結果から、出会い系アプリに関する不満は、表面的な部分と膨らんだ期待がオンラインデートを支配しているというシステム的な問題を反映していることが示されている。
この文脈では、逆盛りは風変わりなトレンドというよりも、コントロールを取り戻すための意図的な戦略として浮かび上がってくる。言葉にされない本物の境界線を設定し、より深い交流を促すことで自律性を感じることができる。それはまた、何よりも見栄えを優先しがちなプラットフォーム文化に対するさりげない抵抗かもしれない。


