相場の不透明感が高まる今、声を聞いておきたいのが、「投資のプロ」であるファンドマネージャーだ。彼らは何を考え、どこに可能性を見出しているのか。運用方針の独自性やパフォーマンスに優れる25人の戦略とは。
武重佳宏|朝日ライフ アセットマネジメント執行役員 資産運用統括部長

たけしげ・よしひろ◎ファクター投資に強みをもち自身が率いる運用チームが担当する「ALAMCOクオンツ日本株オープン」が「R&Iファンド大賞」投資信託国内株式コア部門で優秀ファンド賞を2年連続受賞。テレビ出演の実績ももつ。
担当ファンド|ALAMCO クオンツ 日本株オープン
基準価額|10,363円
純資産総額|33億円
組入上位銘柄|トヨタ(2.7%)東エレク(2.6%)ソニーG (2.6%)など
運用方針|運用で重要なのは、投資哲学とそれを支える一貫した運用プロセスととらえ、当ファンドは、「ファクター投資は市場を上回れる」「ファクターには一方向への動きが続く傾向がある」という哲学に基づき、独自の定量評価モデルを用いた個別銘柄選択を実施。「迷わず、怠けず、疲れず、正確に計算する」というクオンツ運用特有のマインドセットに基づき、ファンドマネージャーが銘柄評価を行う運用とは異なる特徴と強みを発揮。
マーケット展望|定量評価モデルは、グロース、クオリティ、モメンタムといったファクターの有効性を重視。これらは、海外投資家による日本株の買い越し局面で効果を発揮しやすい特性をもつ。米国一極集中から他地域への資金シフトを背景に、海外勢の日本株買い越しが続く間は傾向の持続が見込まれる。投資指標は、売上高成長率やROEの有効性が高く、不透明な経営環境下でも高い成長性や資本収益性を維持する企業への選好が強まる構図。
春川直史|アムンディ・ジャパン ジャパン・ターゲット戦略ヘッド

はるかわ・なおふみ◎2005年、ソシエテジェネラルアセットマネジメントに入社し、ジャパン・ターゲット戦略ファンドマネジャーを務める。20年8月同戦略ヘッドに就任。一橋大学経済学部卒業。日本証券アナリスト協会検定会員。
担当ファンド|アムンディ・ターゲット・ジャパン・ファンド
基準価額|80,511円(分配金再投資基準価額:94,878円)
純資産総額|707.11億円
組入上位銘柄|京セラ(3.8%)しずおかFG(3.6%)京都FG(3.0%)など
運用方針|割安で財務健全、株主還元に積極的な銘柄に投資するディープバリュー型アクティブ運用。市場価値と企業価値の差を見極め、投資先企業と対話を重ねて株主価値向上を図る。2000年の設定以来、景気後退時でも資本の毀損リスクが低い企業を選び、市場変動に強い資産成長を追求。短期的な価格変動を抑え、急落時の資産減少を防いで長期安定リターン重視。設定から25年間、PBR1倍割れ銘柄への継続投資が特色。
マーケット展望|構造改革を進める京セラは不採算事業売却、KDDI等の政策保有株式の縮減、自己株式取得などで資本効率改善中。ファインセラミック部品など成長領域の収益拡大が進めば、中期的な評価引き上げ余地は大きい。セクターでは設備投資サイクルから2026年に向けて受注回復が見込まれる機械セクター、特にFA機器・工作機械メーカーに注目。日、米、中国の半導体や自動車産業で、自動化・省人化需要の拡大、サプライチェーン再構築のための投資増加を期待。



