そんな中、今年1月に、ケフさんらが最も心配する出来事が起きた。停戦に入る直前に、アイエドさんが空爆に巻き込まれたのだ。アイエドさんは、左足に手術が必要な大怪我を負ったが、痛みに耐えながらも、わずか3週間後にはポップアップ・クリニックを再開した。
ケフさんは、アイエドさんについてこう語る。
「私は彼が、真のサバイバーであると確信しました。彼は、常に前進する方法を見つけ、ただひたすらに物事を成し遂げています。しかしここ数ヵ月は、彼の体重が減っていく様子を見て、ますます心配しています。路上の野草を食べるほど状況は切迫していますが、彼は決して希望を失っていません」
ケフさんの元には、ある日突然、命の危険を感じたアイエドさんから別れのメッセージが届いたこともある。だが、アイエドさんは今日も、自身が無事である限り立ち上がり、動物たちの治療を続けている。
戦場の獣医師を突き動かす “生きる目的”
アイエドさんを駆り立てるものは何なのだろう。以下は、アイエドさんの言葉だ。
「動物たちを救えず、彼らの命を手放さなくてはならないこともあります。しかし、患者(動物)が誰にも気づかれず、見放されて、誰からの世話も受けずに死んでいったのではないという事実に、私は慰めを感じています。彼らは、私たち動物を愛する者に囲まれて死んでいき、今は、私たちよりもよい場所で暮らしています。それでもなお、彼らを失うたびに心が痛みます」
「けれど私は、毎日起き上がると希望を持ち、私たちやガザの動物たちを気にかけてくれる人々がいることに勇気づけられています。私が今、この地球上にいるのは、動物たちを助けるためだと思っています。動物たちが私を必要としているからです。これは仕事ではなく、目的なのです」


