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2025.09.17 09:00

米国で「四半期決算廃止」の議論が本格化、トランプが再度提唱

Spencer Platt/Getty Images

Spencer Platt/Getty Images

ドナルド・トランプ大統領は米国時間9月15日、企業は四半期ごとの決算報告をやめ、半年ごとの発表に切り替えるべきだと述べた。これは第1期政権時にも持ち出した案であり、より効率的かつ費用対効果が高いと主張している。

「これにより費用が削減され、経営者は会社を適切に運営することに集中できる」とトランプは自らが立ち上げたSNS、トゥルース・ソーシャルに書き込み、「『中国は企業経営を50年から100年の視野で考えるが、我々は四半期で考える』という言葉を聞いたことがあるだろうか? これはよくない!!!」と付け加えた。

トランプは、この変更には米証券取引委員会(SEC)の承認が必要だと指摘した。同委員会は1970年以来、企業に四半期ごとの決算報告を義務付けている。

トランプは第1期政権時にも同様の提案を行い、SECに実現可能性の調査を求めたが、実現には至らなかった。

ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、株式の長期保有を促すことを目的として設立されたロングターム証券取引所(LTSE)が、近日中にSECに対し同様の変更を正式に求める予定だという。LTSEは、この変更が企業のコスト削減につながり、より長期的な目標に集中できると考えている。

一方で、ブルッキングス研究所など、この変更に対して批判的な立場の者は、四半期決算の廃止は株価が正確に形成されることを妨げ、インサイダー取引のリスクを高める可能性があると主張している。これは、経営陣や顧問らが非公開情報により長期間アクセスできるようになるからである。

さらに米国会計学会の学術誌『The Accounting Review』によると、報告期間が長くなると投資家が企業の進捗について頻繁な情報を得られなくなるため、株式をよりリスクの高いものとみなし、投資意欲を削ぐ可能性もあるとされる。

JPモルガン・チェースのジェイミー・ダイモンCEOとウォーレン・バフェットは四半期ごとの業績見通し発表の廃止を支持しており、2018年のウォール・ストリート・ジャーナルへの寄稿の中で、「短期的利益への不健全な集中を招き、長期的な戦略、成長、持続可能性を犠牲にしている」と論じた。

ウォール・ストリート・ジャーナルは今月初め、Center for Research in Security Prices(CRSP:シカゴ大学証券価格調査センター)のデータを引用し、米国の上場企業数が3700社となり、6月下旬時点で3年前から17%減少したと報じた。四半期決算廃止の支持者は、報告要件の負担が軽減されれば上場企業数の増加につながると主張している。

LTSEは、この提案についての協議でSECから前向きな反応を得たと伝えられており、これはトランプ政権下で進められてきた規制緩和の流れに沿うものとなる。英国は約10年前に四半期決算を廃止し、欧州連合の上場企業も2013年の規制変更以降、四半期ごとの決算報告を廃止することが可能になった。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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