気候変動で米や野菜の不作が続くなか、期待されるのが植物工場だが、コストや運用面の不安から一歩を踏み出せずにいる農業事業者は多い。そうした不安を払拭しようと、シンガポールで最先端の植物工場システムを開発し展開するArianetechの日本法人アリアンテック・ジャパンは、本格的な日本市場への参入に乗り出した。
アリアンテックは2001年創業の電子機器メーカー。2013年から農業テクノロジーに重点を置くようになり、2015年、パナソニックからシンガポール初の養液培地耕式人工光型植物工場を受注したことから、同社はシンガポールのアグリテック企業として足場を固めた。

植物成長を最適化する高効率LED照明「EZYGRO」や栽培空間と栽培資源の効率を最大化する植物工場栽培システム「SMART-AGRO」などの主力製品は、日本を含む世界各国で導入が進んでいる。同社は以前から日本の植物工場事業者と交流を重ねてきたが、電気代や人件費などの多額の運営コストのために、多くの事業者が経営難に陥っている現状を目の当たりにしたという。それが日本法人設立のきっかけにもなった。
同社は、ロボットやドローンによる自動化とグリーン電力で「電力消費ゼロを実現する植物工場」をシンガポールに立ち上げた。その技術は日本の植物工場領域に大きな影響を与えるものと期待される。千葉大学と、同大学柏の葉キャンパスで植物工場の研究開発を行うNPO法人「植物工場研究会」との協力により同研究会の施設内に事業拠点を置いたアリアンテック・ジャパンは、日本市場にフィットした次世代型農業モデルの構築を目指すと話している。



