北米

2025.09.16 13:00

元OpenAI社員の死亡をめぐり陰謀論再燃、マスクとアルトマンCEOの対立激化

OpenAIのサム・アルトマンCEO(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

OpenAIのサム・アルトマンCEO(Photo by Chip Somodevilla/Getty Images)

元OpenAI社員スチール・バラジは2024年11月、OpenAIを批判した直後に自宅で銃撃を受けて死亡した。米当局は自殺と断定したが、両親や一部の関係者は他殺を疑い、陰謀論が広がっていた。2025年9月、右派論客タッカー・カールソンがサム・アルトマンCEOにこの死因を問いただし、再び注目を集めた。さらに翌日、繰り返し投稿してきたマスクが改めて「殺害された」と書き込んだことで、陰謀論は一層拡大した。シリコンバレーの企業不信やマスクとアルトマンの確執、米国特有の陰謀論文化が背景にあり、事件はAI開発の透明性や企業倫理をめぐる議論とも重なっている。

タッカー・カールソンの追及で再燃した、元OpenAI社員の死をめぐる陰謀論

カールソンは9月11日のX(旧ツイッター)の投稿で、アルトマンのインタビュー動画を公開した。OpenAIの研究員だった26歳のバラジは昨年11月、サンフランシスコの自宅アパートで頭部に銃弾を受けて亡くなっているのを発見されたが、その直前に元雇用主であるOpenAIが著作権法を侵害していると公表していた。

アルトマンはバラジの死を「大きな悲劇だ」と述べて、「深く動揺した」と語った。そのうえで、自殺だという見方を改めて主張し、「当初は『非常に不審に思えた』と感じたが、追加の公式報告を確認した結果、最終的には自殺だと考えるようになった」とカールソンに説明した。

カールソンはアルトマンの見方に反論し、「彼は間違いなく殺された」と主張。「当局が自殺として片付けているのが理解できない」と語った。彼はさらに、アルトマンが本当に友人だったのなら、「事件を調べるか、母親に話を聞こうとするはずだ」と述べたが、「私は面談を申し出たが、彼女は望まなかった」とアルトマンは語った。

この会話が特に緊迫したのは、アルトマンが「インタビューで非難されるなんてあまり経験がない」と口を挟んだときだった。カールソンは「とんでもない。私はあなたを非難なんかしていない」と即座に否定した。

このやり取りによって、バラジの死をめぐる憶測が再燃した。バラジの両親や一部の関係者は、彼がOpenAIに反対したために殺害されたと信じているが、同社はこの見方を強く否定しており、当局の捜査結果とも食い違っている。

バラジが「殺された」と主張する陰謀論は、アルトマンの長年のライバルであるマスクのような著名人によって拡散されてきた。マスクはこれまでにも繰り返しバラジについて投稿しており、直近では11日にカールソンのインタビューに反応する形で「彼は殺された」とXに書き込んだ。

サンフランシスコ警察と検視局が他殺の形跡なしと結論

サンフランシスコの警察当局と市の検視局は、バラジの死の直後に自殺と断定し、フォーブスに対し「初期の捜査で他殺の形跡は見つからなかった」と声明で述べていた。

数カ月後に公表されたバラジの検視報告書も同じ結論に至っていた。報告書によれば、彼のアパートに侵入者の痕跡はなく、使用された銃はバラジ自身が購入していたことや、彼が脳の構造に関する情報をインターネットで検索していたことが判明した。

検視で判明した薬物とアルコールの影響

また、死亡時の血中アルコール濃度は0.178%という法定基準の2倍以上の濃度で、抑制作用のあるGHBなどの薬物が体内から検出された。

バラジの両親は当局に対し、彼がこれまで自殺願望を示したり自殺を試みたことはなかったと述べているが、「仕事を辞めて新たな職を探している最中で、大きなストレスを抱えていた」と語っていた。

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翻訳=上田裕資

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