北米

2025.09.18 09:30

「強硬策」の代償──米国を弱体化させる中国叩き

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「輸入」は最強の国家防衛策である──安全保障において、これ以上の策はない。

なぜならどの国も、自国の「お得意様」に銃口など向けたくないからだ。そんなことをすれば、高い代償を払わなければならなくなる。言わずもがな大口顧客を失った国は経済的な打撃を受け、国の安全保障さえ脅かされる事態となる。

米政府による中国企業DJI製ドローン禁止の動きは、こうした常識──自由貿易がもたらす安全保障の力を思い起こさせる。この禁止措置は米国の企業に損害を与え、生産性の低下は経済の悪化をもたらし、さらには多くの保守派が恐れる、中国による将来的な米国侵攻のハードルさえ下げかねない。

禁止措置の弊害を理解するために、米国の農業用ドローン販売会社nuWay Ag(ヌーウェイ・アグ)の実例を見てみよう。ニューヨーク・タイムズ紙の記者でジャーナリストのファラー・ストックマンは次のように報じている。「マイク・ヨーダー氏(ヌーウェイ・アグのオーナー)はオハイオ州の農村部で過去3年にわたり、種子・肥料・殺菌剤を空中から散布するドローンと発着台のセットを販売してきた。農家のコスト削減と労働時間の短縮という実績を上げたことで、地元で良い評判を築いている人物だ」 ところが米国では今、彼が販売するDJI製ドローンが「禁止寸前」の状況に陥っている──こうした露骨な保護主義は、米国経済にどのような影響を及ぼすのだろう。

まず、ヌーウェイ・アグの事業はDJI製ドローンの販売を柱にしており、同製品なしでは事業の拡大はおろか存続すら難しい。事実、「ヨーダー氏は最近、従業員22人のうち2人を解雇せざるをえなかった。販売のためのDJI製ドローンを確保できず、給料の支払いが難しくなったためだ」

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翻訳=猪股るー

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