北米

2025.09.18 09:30

「強硬策」の代償──米国を弱体化させる中国叩き

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ブドウ畑の上空で散布作業を行う中国DJI 製ドローン(ドイツ、Getty Images)
ブドウ畑の上空で散布作業を行う中国DJI 製ドローン。ドイツ(Getty Images)

ここで考えてみてほしいのは、ヨーダー氏がなぜこれほどDJI製ドローンを重視しているかという点だ。このドローンは種子・肥料・殺菌剤を空中散布することで「農家のコストと数週間分もの労力を削減する」販売セットの基盤だという──農家が受けるこういった恩恵こそ、国家が重視すべき点である。

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輸入品は米国人の生活を底上げするツールだ。実際、オハイオ州の農村部ではDJI製のドローンにより、農業の生産性が飛躍的に向上している。

ここで誰もが当然抱く疑問が生じる。経済成長重視と言われるトランプ政権が、なぜDJI製ドローンを禁止しようとしているのか。この疑問については真剣に考える必要がある。豊かな経済力は外交における力だ。これは世界がこれまで経験してきたことからも明らかであり、そのもっとも優れた政策は自由貿易──安くて便利な輸入品をうまく活用することなのに?

政府の財源は天から降ってくるものではなく、国内の経済活動に課税することで得られる。つまり、経済が大きくなればなるほど、盤石な国防力を築く財源も大きくなる。

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トランプ政権が保護貿易の口実に「国家安全保障」を掲げている今、この基本的な事実をしっかりとおさえておきたい。保護貿易は国家安全保障などにはつながらない。自由貿易による輸入は輸入国の経済を強化する。そして輸入を通じた世界的分業は生産性向上の最大の原動力となる。もし中国が本気で米国を弱体化させたいなら、むしろすべての輸出を止めれば米国は大打撃を受けるのだ。おわかりだろうか。

トランプ政権がDJI製ドローンを禁止すれば、それを販売する米国企業も、それを使用する農家や事業者も打撃を受ける。そして、経済発展に不可欠な世界的分業が損なわれることで、米国の労働者も不利益を被る。

これは、トランプ政権の禁止措置が米国の国家安全保障をも危うくすることを意味する。強い経済こそが強い国防の要なのに、トランプ政権はそれを弱体化させているのだから。さらに、米国が中国企業の「お得意様」の座から降りることで、将来的な中国による米国侵攻へのハードルまで低くなってしまうのだ。

forbes.com 原文

翻訳=猪股るー

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