iPhone 17シリーズと同時に発表されたAirPods Pro 3は、世界でもっとも多く販売されているワイヤレスイヤホンAirPodsシリーズの中核機をアップグレードしたモデルだ。
音質も大きく向上している一方、オーディオデバイスの枠を超え、ライフスタイルを変革する提案が数多く盛り込まれている。
Apple Intelligenceとの深い統合、健康管理への新しいアプローチ、そして持続可能性への配慮まで、この小さなデバイスには想像以上の技術革新が込められている。
大幅に向上した音質と世界最高峰のノイズキャンセリング
AirPods Pro 3のアップデートにおける中核は、なんといっても音質の向上だ。
耳に収まる部分をよりコンパクトにしているにも関わらず、その内部は異なる複数の共鳴管を配置した“マルチポート音響アーキテクチャ”を採用することで、とりわけ低音再生能力を高めている。
慎重に設計されたこの設計で、耳に届くまでの音の流れが周波数帯域ごとに精密に制御され、これまでのAirPodsシリーズから大きく飛躍した低域再生能力を備える。第3世代の音質で特に感心したのは、豊かかつ応答性も十分な低域の土台の上に、応答性と情報量、解像度に富んだ中高域から高域にかけての描写力、そして表情豊かな中音域の表現力だ。
これまで“聴きやすく邪魔にならない”音質に終始してきたアップルの音質とは一線を画す、繊細な表現やパッションを感じさせる音は、最新のEDMにおいても、定番のジャズやクラシックの録音においても確実に満足度を高めている。
また空間オーディオの改善も目覚ましい。
空間オーディオでミックスされた楽曲では、音のパーティクル(粒)がより明瞭に空間に散りばめられたアトラクティブな最新ポップスから、オーケストラでの楽器パートごとの分離感やホールトーンを支える低音まで、描写能力が確実に上がっている。
この改善は映画など映像作品のDolby Atmos再生時にも活かされ、LFE(低域効果音)が効果的に感じられるようになり、セリフのキレもよく明瞭に頭の中に入ってくる。
低音再生能力の質と量が高まったことで、より高い周波数域の情報量を引き出してもバランスよく楽しむことができるようになり、その情報量の多さが空間オーディオの改善にも寄与する良い意味でのスパイラル効果が生まれている。
そして低域再生能力の高まりは、世界最高峰クラスのアクティブノイズキャンセリング能力にもつながっている。より多くのノイズをキャンセルするには、それだけ多くのエネルギーを的確に出す必要がある。つまり、オーディオ機器としての質の高まりが、ノイズキャンセリング機能改善の基盤にもなっているのだ。
アクティブとパッシブの両面で静けさと快適性を引き出す
この優れたアクティブノイズキャンセリング技術は、前世代比で2倍、初代AirPods Pro比では4倍の性能向上を達成したとアップルは主張している。
周波数帯域ごとに効果が異なるため、異なる製品との厳密な比較は難しいが、AirPods Pro 3は低域から高域まで幅広く大幅にノイズを抑制する。処理プロセッサは従来と同じH2プロセッサだが、前述したように低域再生能力そのものの改善がノイズキャンセリングにも好影響を与えているほか、設計上の工夫も大きく貢献している。



