そのポイントは、周囲の音を集めるマイクロフォンを最新の超低ノイズ型に置換した上で、位置の最適化を図ったこと。そして的確に収音した音を、より洗練されたアルゴリズムによる演算で、的確なアクティブノイズキャンセル信号へと変換できるよう開発が進んだためだ。
また新開発のフォームインフューズイヤピースは、従来のイヤーピースとほとんど変わらない柔らかな感触を維持しつつも、耳道に接する部分にコンパクトに発泡素材を組み合わせることで、使い勝手の良さとパッシブでのノイズ遮蔽効果の両立を果たした。
飛行機のエンジン音といった低域中心のノイズから、広い周波数が入り混じる電車内や街中、カフェの喧騒、それに日常の会話まで、実に幅広いタイプの背景ノイズを効果的に遮断する。
実はこの超低ノイズマイクの影響は、外音取り込みモードにおいても実感できる。周囲の音を自然に取り込むのはもちろん、自分の声や他者との会話で人間の声がより繊細に聞こえるようになっている。
自動的に状況に応じてノイズ抑制パターンを最適化する適応モードや、会話を検知して自分や相手の声を聞こえるようにする機能なども、切り替わりの境目を気にすることなく楽しめるようになっている。
これらのアイディアは、アップルだけではなくソニーなど市場でのライバルが積極的に開発に取り組んでいる機能だが、動作の自然さでは明らかにリードしている。
ライブ翻訳がもたらすコミュニケーションの革命
AirPods Pro 3をはじめH2チップ(AirPods 4やAirPods Pro 2を含む)搭載のイヤホンでは、Apple Intelligenceを活用した「ライブ翻訳」が利用可能になる。これは目の前にいる話者の言語をリアルタイムに翻訳し、耳元のイヤホンで自分の言語に変換して聞こえるようにする画期的な機能だ。
現時点では英語、フランス語、ドイツ語、ポルトガル語、スペイン語に対応し、「Hey Siri、ライブ翻訳を開始して」と話しかけるか、両耳のAirPodsの圧力センサーを同時に押すだけで起動する。
この機能は元々、iPhone向けのiOS 26に実装されている“翻訳機能”を応用したものだ。iPhoneでは音声認識をした文章を即座に特定言語に変換し、さらに発話させる機能がある。
ライブ翻訳ではこの機能をリアルタイムコミュニケーションで応用するため、音声分離処理、アクティブノイズキャンセリング、ビームフォーミングマイクロフォンの技術を組み合わせ、よりスムースな利用を可能にした。


