政治

2025.09.16 09:30

ロシアの戦争遂行を支えるベラルーシの国際ネットワーク イランや中国が進出する理由は

ベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領(exsilentroot / Shutterstock.com)

ロシアとベラルーシは、軍事分野において前例のない次元の戦略的パートナーシップを確立した。このことは、ルカシェンコ大統領自身が今年3月にロシア連邦議会連邦院(上院)で行った演説で次のように語ったことからも明らかだ。

advertisement

「ソ連の経験が証明しているように、強力で経済力のある国家や連合体のみが真剣に扱われる。単独では、われわれは考慮されず、誰も礼儀を示さない。だからこそプーチン大統領と私は、共通の祖国を共に守らねばならないという点で合意したのだ」

このパートナーシップにはロシアの戦術核兵器の提供も含まれている。最新型の極超音速中距離弾道ミサイル「オレシュニク」は既にベラルーシに移送され、まもなく配備される予定だ。

ベラルーシの役割は生産拠点にとどまらない。ロシアに同情的だが表立って取引はしたくない国々と、ロシアとの橋渡し役を担っている。ウクライナ情報筋によれば、ロシアはイランに2400機を超える無人機を発注しており、それらはウクライナのインフラ設備や民間施設を定期的に攻撃している。

advertisement

ロシアはシャヘド型無人機の生産拠点をベラルーシ国内に構築できないかを検討してもいる。ベラルーシでイラン製UAVの本格的な生産が可能になれば、イランから輸入する際の物流の問題を解決できる。イランはウクライナ戦争で使われている兵器をロシアに提供していることを一貫して否定している。

一方、ベラルーシとイランの貿易額は2021年から22年にかけて3倍に増加した。

ルカシェンコは2023年10月、イランのモハンマド・モフベル第1副大統領(当時)との会談で、「非友好的な」西側諸国に対抗するイランへの支持を表明。「われわれの対応は明確だ。互いにより緊密に連携し、協力し、これらの敵対的行為に抵抗しなければならない」と述べている。

イランは2024年4月17日の「国軍の日」の軍事パレードで、国産の地対空ミサイル防衛システム「ババル-373」の新型をベラルーシ製の8輪駆動トラクターMZKT-791300に搭載して披露した。

なお、ベラルーシとイランの武器・軍用装備品の取引額を明記した公開情報はない。

次ページ > 中国もベラルーシで兵器製造を行っている

翻訳・編集=荻原藤緒

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事