あなたは正しい意図を持ち、全身全霊をかけて相手を愛している。だが、自身のパターンに気づく能力がなければ、そのパターンが思い通りに相手に届くことはないかもしれない。
映画では「いつまでも幸せに暮らす」というのがお決まりで、恋に落ちるのはシンプルなことに感じられるが、現実はまったく違う。
自分の防衛本能や意思疎通の行き違い、初対面の人に自分をさらけ出すことへの恐れ、あるいは恋愛で傷ついたりして、愛は伝わらないことが多い。人とのつながりに憧れ、大事な人に理解され、認められ、愛されたいと思うのは自然なことだ。だが健全で長続きする愛を誰かに捧げるには、情熱だけでなく自己認識が必要だ。
恋愛における自己認識とは、自分自身の考えや習慣、行動、感情に耳を傾け、それが2人の関係にどのような影響を与えているかに気づく、意図的な実践のことだ。
この記事では、本当に充実していると感じられるような恋愛関係の枠組みを作るのに、自己認識がいかに役立つかを紹介する。
1. 信頼構築は自分に正直になることから
本当の恋愛関係は単に愛情だけでなく、相互尊重や一貫した意思疎通、そして信頼の上に築かれるものだ。信頼を築くには自分に正直であることから始まる。
あなたは愛を求めているが、同時に愛を恐れているという状況を想像してみてほしい。真剣に交際することを考えると違和感がかき立てられ、それを避けようとしても言葉にできない。親密さを切望しているがゆえに交際を始めるが、物事が現実になった瞬間、あなたは離れていく。あなたは自分が愛を欲しているという1つの真実を知っている。だが、愛を恐れているというもう1つの真実を避け続けている。その状況に直面しない限り、このサイクルが終わることはない。
専門誌『Social Psychological and Personality Science(ソーシャル・サイコロジカル・アンド・パーソナリティ・サイエンス)』に今年掲載された研究では、200組以上のカップルに、パートナーのどんなところを変えたいかを尋ねている。その結果、関係において正直であることは傷つくこともあるが、双方が相手に対して正直で、そのことを受け止めた場合、2人の関係に満足感を感じ、関係にプラスになるように自分を変えようとする意欲が高まる傾向があることがわかった。
自分の本当の気持ちやニーズ、あるいは恐れを隠そうとしたり否定したりすると、自分の中で矛盾や葛藤が生まれ、それがやがて関係にも影響し出す。自分に正直になり、相手と向き合うことへの恐れに対峙することで、自己認識が深まる。その自己認識は、真正性として関係に現れる。あなたは自分が何を望んでいるのか、なぜそれを望んでいるのかを知っており、それをオープンに共有することができる。
真の信頼は、カップルの双方が自己受容と弱さを共有することで育まれる。自分が自分に正直でなければ、相手は矛盾を感じ取り、難しい会話を避け、最終的には信頼関係の崩壊に直面する。



