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2025.09.25 20:00

日本文化の新たな価値創造拠点へ!カルチャープレナーが語る東京・八重洲のまだ見ぬ可能性

開発が進むなかでも文化の薫りを残す街、東京・八重洲。進化のさなかにあるこの街を、カルチャープレナーが読み解くとどうなるか。工芸、酒、茶の各分野から気鋭の3人が集結し八重洲を巡って白熱鼎談。未来の八重洲像が浮かび上がる。


交通の要衝であり、大企業が集まるビジネスの中心地・東京駅前。その一帯を指す八重洲・日本橋・京橋(YNKエリア)は、老舗の飲食店が路地を照らし、江戸時代から続く日本三大祭の山王祭があるなど歴史や文化も色濃く残っている。革新と伝統、経済と文化の溶け合うこの街の可能性は、カルチャープレナーの目にはどう映るのか。

鼎談するのは、茶道家でTeaRoom代表取締役CEOとして茶の湯文化を産業へ届ける岩本涼、工芸領域の付加価値向上を目指す丹青社「B-OWND」室長の石上賢、日本の酒文化を広く伝える酒販業「いまでや」の創業家出身の小倉爽椰。八重洲エリアだからこそ実現する、日本文化のアップデートの可能性を語り合う。

岩本 涼(以下、岩本):八重洲エリアでは東京建物と協業し、オフィスでのウェルビーイング向上支援サービス「オフィスで茶の間」の開発などに取り組んできましたが、そのなかで感じるのは日本の「玄関口」である街としての厚みと深みですね。特に訪日客にとっては、必ず通るであろう「入り口」であり「出口」です。

「入り口」として東京駅に降り立つと、おそらく駅前の高層ビルを前に、都会らしさを感じるでし ょう。そこから地方へ出かけ、趣の異なる風景や日本の伝統文化を目にして「出口」として八重洲へ戻ってきたときには、日本を体験する厚みが増しているんじゃないかと思うのです。

八重洲の路地や老舗に目を向けてみようとなるかもしれない。日本での体験を通じて街の見方を変えることができるわけですね。その意味で、八重洲エリアは、何度降り立っても新しい気づきが得られると思います。

いわもと・りょう◎TeaRoom代表取締役CEO。1997年生まれ。 2018年にTeaRoomを創業。幼少期に茶道裏千家に入門し、茶道家としても活動。中川政七商店社外取締役。
いわもと・りょう◎TeaRoom代表取締役CEO。1997年生まれ。 2018年にTeaRoomを創業。幼少期に茶道裏千家に入門し、茶道家としても活動。中川政七商店社外取締役。

小倉爽椰(以下、小倉):訪れる人も多様ですね。東京駅西側の丸の内と印象が異なるのは、八重洲はビジネスパーソンから訪日客、家族連れまで偏りなく幅広い層が集うこと。そんな場所は、東京のなかでもここくらいでしょうね。行き交う人々の「ハブ」になるような街というか、人と人との関係を深めるツールになるお酒と似ている部分がありますね。

石上 賢(以下、石上):アクセスの良さも相まってさまざまな人に開かれている街ですよね、八重洲は。こうした街の寛容性と出会いの偶然性があることが、文化の発展に効いてくると思うのです。

岩本:行き交う人たちの「玄関口」である特性を踏まえて、八重洲で日本文化のアップデートを考えていくとなると、まずは偶然の出会いを創出するタッチポイントの設計が重要になるでしょうね。例えば、日本でも海外でも人気の抹茶は、茶の湯文化につながる有効なタッチポイントになりそうです。

小倉:お酒でいうと、酒屋の一角でお酒を楽しむ日本独特の文化「角打ち」がうまく作用しそうですね。隣の人と自然に始まる会話を通じて、訪れた人たちの心がすっぴんでいられるような空間です。まさに偶然の出会いが生まれる八重洲でこそ楽しめると感じます。

おぐら・さや◎いまでや商品コミュニケーション本 部、madam IMADEYA執行役員。1996年生まれ。新卒でいまでや入社。その後サッポロビールに転職。24年、いまでやに戻る。
おぐら・さや◎いまでや商品コミュニケーション本 部、madam IMADEYA執行役員。1996年生まれ。新卒でいまでや入社。その後サッポロビールに転職。24年、いまでやに戻る。

岩本:お茶・お酒・工芸は、互いに影響を受け合いながら発展してきたといえますよね。茶事は、お茶と日本酒の両方を楽しむ様式ですし、それぞれ神事にも用いられたりもしている。これらがそもそも独立した存在同士ではなかった。

小倉:文化のコラボレーションは当社も取り組んでいます。例えば日本酒とお着物。銀座にある老舗の呉服屋さんに協力してもらい、かつては女性禁止でつくられたお酒と、男性向けではなかった着物とをジェンダーレスの時代に文化の成り立ちと一緒にそれぞれを楽しんでもらいました。堅苦しくなく、様々な方に楽しんでもらえる提案のひとつですね。

文化は「閉じながら」伝えるもの

石上:ただ、同時に文化には「開かれているけど、一部閉じている」設計も必要ですよね。僕が携わるB-OWND事業で話すと、取り扱う作品や価格帯を、あえてマス向けに開きすぎないように設計しています。

岩本:茶の湯でいえば、抹茶ラテは入り口で、そこから興味を深めていった人向けには、茶会を用意するというような。サービスではなくセレモニーであるという本来の精神性を伝える本格的な茶会や茶事を行うことで、付加価値向上につなげたいのです。いわば、文化体験の強度や密度の使い分けですね。

小倉:そうですね、文化のアップデートにも、グラデーションが必要でしょう。お酒も、生産者が命を込めてつくっている一滴と飲み放題のそれって同じ価値ではないのだと思います。当社はもともと千葉で創業した小さな酒屋ですが、両親が全国の蔵元に直接足を運んで泥くさくコミュニケーションを重ねてきました。一緒に農作業をしたり、お酒を交わしたりして生産者の方々と家族のようにつながり、お酒の持つ価値を肌で感じてきました。その価値を届けていきたいという意識が強くありますし、業界への責任も果たさなくてはならないとも考えています。

石上:工芸の世界もそれに似たところがありますね。工芸の場合は、マネーを生んでいくことに対しても、より切実な現状がある。市場規模はバブル期から8割減の800億円以下という崩壊危機にある業界で、売り切って結果を出すことにコミットする必要があります。作家さんには「売れなくなったら契約解消でも構わない」と伝えています。「B-OWND」はそういう本気度のなかで文化を継承している側面もあります。

いしがみ・けん◎丹青社 B-OWND室 室長。1992年生まれ。10代から画家である父の作品販売を手がける。 2019年、アート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND」を創設。
いしがみ・けん◎丹青社 B-OWND室 室長。1992年生まれ。10代から画家である父の作品販売を手がける。 2019年、アート・工芸作品のプラットフォーム「B-OWND」を創設。

八重洲を知財集積の「実験場」に 

岩本:レガシー業界や文化の背景も併せて伝えるための付加価値向上をどう考えるかですね。あらためて八重洲の特徴を踏まえて考えると、この場所は日本文化のもつ精神性への興味喚起を促す場、そして日本のあらゆる文化関連事業者へ送客する発信地としてとらえることができますね。

加えて、コーヒーやアートがそうですが、西洋諸国は「誰もが知るもの」を意図的に生み出し、付加価値を上げる方法に長けている側面があります。他国、ほかの領域から学ぶなどして日本文化でもしたたかに仕掛けることが非常に必要だと思います。

その意味では、八重洲は文化発展の知財が集約される、付加価値向上の実験場にもなりうる。その試行錯誤を文化間でシェアしていきたいです。

小倉:当社でも日本酒や日本ワイン、国産蒸留酒を低温熟成庫で寝かせて、高付加価値商品に生まれ変わらせる取り組みを行っています。タッチポイントを多層的に設置できる八重洲だからこそ、日本を深掘りできる場所になるといいですね。

石上:僕がプロデュースする際に大切にしている価値観が、職人や商人の文化がつくる「歴史性」、最先端の今をうつす「時代性」、街について個人が思い思いに考えられる「個人性」。これらを交差させ、最大化することが重要と考えていますが、八重洲はこれらがすべてある、文化発展に最適な街だと感じます。

文化は「冷凍保存」しないほうがいい。保存や記録だけでは、あとで食べられなくなってしまうので、時代に合わせながら継承していく必要がある。まさに西洋の模倣でない、日本の美の評価基準や様式、表現のルールを定めていけると素晴らしいですね。

文化は「文明開化」の略という話もありますから、八重洲から固定化できない面白さを開花させられるのではないでしょうか。


東京建物
https://tatemono.com/


八重洲や日本橋・京橋一帯「YNK」エリアのイメージムービーを公開中。さまざまな人々が共創する様子を音楽の「Session」になぞらえた。

YNK SESSION MOVIE
監督 : 野田智雄/音楽 : 吉岡たく

<協力>
野永喜三夫(日本橋ゆかり)/伊藤東凌(臨済宗建仁寺派 両足院) /岩本涼(TeaRoom)/八木幣二郎/一般社団法人江戸消防記念会/T3 PHOTO FESTIVAL/白木屋伝兵衛/TOKYO SQUARE GARDEN/TOKYO IDEA EXCHANGE

Promoted by 東京建物 | text & edited by Rie Suzuki | photographs by Kizuku Yoshida

連載

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