経営・戦略

2025.09.20 09:15

美容室倒産が過去最多へ なぜ美容師は消えるのか

gettyimages/t.maz(写真はイメージで記事本文とは関係ありません)

利益確保に苦戦するサロン

2024年度の業績を見ると、SNSで集客し増益を確保したサロンもある一方、全体の約3割は赤字だった。3年連続で「減益」が増え、この二極化は加速している。

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物価高による節約志向で美容室への来店頻度が減少し、集客のために割引クーポン合戦が激化。そこに人件費や資材費の高騰、広告費の負担が重なり、大手チェーンですら減益に直面している。

美容室に限らない「人材確保の危機」

美容室業界の現状は、他の職種にも見られる苦境だ。介護や飲食、物流、建設などでも「成り手不足」「教育困難」「人気の人材の流出」は共通している。

人材不足は単なる労働力の減少ではない。教育制度や働き方、価値観の変化によって、事業そのものの存続を揺るがす「構造的な危機」でもある。

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値上げに見合う付加価値を提供する試みとして、プレミアムサービスや常連向けプログラムを導入する美容室は増えている。しかし、それだけでは根本的な人材不足を補うことは難しい。

美容室の倒産増加は、日本のサービス業全体が直面する未来を先取りしている。問われているのは「どう人を育て、どう働き続けられる環境を築くか」。その答えを見出せなければ、美容室に限らず、どの職種も淘汰はさらに加速していくだろう。

プレスリリース

文=福島はるみ

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