7. デジタルトラストとサイバーセキュリティ(Digital Trust and Cybersecurity)
当然、サイバーセキュリティも大きな焦点となる。
マッキンゼーのパートナーであるチャーリー・ルイスは、資産管理、脆弱性管理、アイデンティティ管理といった中核基盤を挙げる。
「信頼はもはや『ソフトな問題』ではない。ビジネスの死活を握る資産だ」と、ベイエリアのマッキンゼー・パートナー、ロジャー・ロバーツは付け加える。「AI生成コンテンツ、越境するデータフロー、そして高まるサイバーリスクの世界において、デジタルトラストは事業運営の『免許証』だ。設計段階から信頼を組み込む企業こそ、顧客に選ばれ、社会のステークホルダーの支持を得るだろう」。
筆者は、チームが将来のサイバーセキュリティ・アーキテクチャを形作る要素として次を列挙した点にも注目した。
・プライバシー・エンジニアリング
・耐障害性(システム回復力)
・スマートコントラクト
・説明可能なAI
・ガバナンス・リスク・コンプライアンスのための自動化
8. 量子技術(Quantum Technologies)
量子はまた別の画期的な分野であり、これは古典的な量子力学の考えに基づいている。その理論は私たちの多くにとって古風でロマンチックにさえ思えるが、コンピューターサイエンスに応用されると冷徹なほど機械的だ。
マッキンゼーは、2025年は「量子コンピューティングにとって出来事の多い年」だと述べ、Amazon Web Services(アマゾン・ウェブ・サービス)、グーグル、IBM、マイクロソフトといったおなじみの名に加え、グーグルのWillow(ウィロー)チップ、マイクロソフトのMajorana 1(マヨラナ・ワン)プロセッサー、IBMのQuantum Heron(クアンタム・ヘロン)、そしてAWSのプロジェクトであるOcelot(オセロット)を挙げる。
目標としては誤り訂正とスケーラビリティが示され、今後数年で量子への注力が強まるとする。さらに、34カ国が国家量子プログラムを持つと推計し、国連が2025年を「国際量子科学技術年」に指定したとも記している。
9. ロボティクスの未来(Future of Robotics)
これは大きなテーマである。数週間前、筆者はロボット向けの新しいエヌビディアのJetson(ジェットソン)技術について書いたばかりだ。
マッキンゼーの関係者もこの分野に詳しい。
彼らのロボティクス調査には、人間の想像力をかき立てるヒト型デザインと、形状の異なる産業用や「民生」ロボットの双方が含まれる。ヒト型デザインの現時点の課題は次のように整理されている。
「非接続のヒト型ロボットは電力に制約される。最先端のヒト型ロボットは、およそ4時間稼働の後、充電が必要となり約2時間かかる。ヒト型ロボットは転倒もする——二足で立ち続けるためのバランスは、想像以上に難しい」。
そのほか、手の多用途性や学習データも課題であり、筆者らは基盤モデルの活用に言及する。
10. モビリティの未来(Future of Mobility)
ここではマッキンゼーは、自動運転車、電気自動車(EV)、ドローン、アーバン・エア・モビリティの解決策、そして当面は人が操作する「取り回しの良い」各種車両など、移動技術の広範な活用を考察する。eスクーターやeバイクが最終的に自動運転化しても不思議ではない。
「2025年のモビリティの未来は急速に進化している。自動運転、電動化、ドローン、航空、マイクロモビリティの各領域で、技術の進歩とサステナビリティ需要の高まりが原動力となっている。AI、高度センサー、接続性の統合により車両の安全性と効率が改善し、シェア型モビリティが都市交通を再構成している」と同チームは説明する。


