私たちの多くは、両親もまたひとりの人間にすぎないと気づいた瞬間、少なくともその段階を覚えている。人は皆、それぞれに恐れや疑念、間違いを抱えている。権力ある完璧な存在ではなく、等しく成長の途上にある人間だ。
自分の会社を立ち上げる前、私はリーダーシップについて子どもが両親について考えるのと同じように考えていた。リーダーになれば経験を積み、自分のスタイルを確立してやがて「到達」し、その後は多かれ少なかれ自動走行モードになると想像していた。
もちろん、そうではない。テクノロジーとビジネスは加速度的に進化している。リーダーは、経済の変動や世界的な健康危機を常に警戒していなければならない。新しい世代はフレッシュな期待を抱いて社会に出る。人工知能(AI)エージェントのようなツールはチームに不可欠な存在になりつつある。力強いリーダーになるための仕事に終わりはない。
私が得た最も貴重な教訓は、初心を持ち続けること、つまりオープンで、好奇心を持ち続け、軌道修正を厭わないことだ。それを念頭に置いて、リーダーによくある3つの過ちと軌道修正する方法を紹介しよう。
1. 謙虚さを過小評価する
新しい価値観が絶えず職場の期待値を揺さぶっている時代にあって、特定のリーダーシップの固定観念が根強く残っているのは驚くべきことだ。例えば、自己主張の強さや競争心の強さなど、伝統的に「男性的」な特質が成功の必須条件だと信じている人はいまだに多い。 自信、時には過信さえもリーダーシップの特徴とみなされる。たとえそれが、間違いを認めたり限界を認識したりすることを犠牲にしていてもだ。
しかし私は、謙虚さが現実にメリットをもたらすことに気づいた。リーダーが率直に間違いを認め、功績を分かち合えば、そのような行動はチームの模範となる。これにより信頼と尊敬の文化が築かれ、競争よりも協力が育まれる。
ある研究でも、謙虚なリーダーはリーダーシップの役割を担うよう従業員を駆り立てることが示されている。言い換えると、謙虚さは権威を弱めるものではなく、他の人が成長するためのスペース(とやる気)を生み出す。しかも、研究は中国の従業員に焦点を当てたものだったが、研究者たちはプロフェッショナルが集団主義的でなく個人主義的な傾向にある西洋文化でも同じであることを確認した。
この調査結果が企業にとって何を意味するのか、考えてみる価値はある。もしあなたが将来のリーダーが継続的に育成・輩出される仕組みを築きたいと考えているという立場なら、少し謙虚になることは大いに役立つ。私は毎週のデモデイで、他の人の功績を認め、自分の課題を共有するよう心がけている。そうすることで他の人も同じように行動するようになり、同時に私たちが価値を置くタイプのリーダーシップの基準が設定される。



