2. 一貫した成果を出す従業員に報いない
今日のSNSプラットフォームの多くは同じような報酬ループで動いている。コンテンツをシェアし、フィードバックを得て、またシェアしようと思う。スナップチャットはこの方式にひと工夫加えており、それは非常に効果的だ。1日1回以上友人と写真またはビデオをやり取りすると絵文字がもらえるという「ストリーク」だ。これは基本的に頻繁な利用をゲーム化したものだ。
結局のところ、職場で従業員のストリーク(連続達成)に報酬を与えることは同じように強力になり得る。大きな成果を評価するのは当然であり、直感的でさえあるが、継続的なタスクの一貫した成果は見過ごされることがある。研究によると、従業員にストリークのインセンティブ、つまりずっと取り組むタスクに対する支払いの増加がやる気を高めることがわかった。実際、この種の報酬は単発の大きなインセンティブよりも人々のやる気を高める。
継続的な進歩をストリークとみなすことで、組織は長期的な目標や持続的な努力に対する従業員のコミットメントを強化できる。また、インセンティブは金銭的なものである必要はなく、追加の休暇や人前での表彰、あるいは個人的に意味のある報酬といった特典の形でもいい。
3. 戦略計画なしで学習に取り組む
今日の市場で競争力を維持するためには学習が不可欠であることは周知の事実だ。リーダーにはスキルアップを奨励・促進する任務が課せられているが、AIツールはこうした取り組みをこれまで以上に効果的なものにしている。例えば、AIエージェントは従来の教育方法よりも多くの従業員を訓練でき、しかもレッスンを個人に合わせられる。従業員はより早くスキルと自信を身に付け、管理職はトレーニングの監督に費やす時間を減らせる。
だが、リーダーたちがそのプロセスをよく検討せずに学習の取り組みを行っていることがあまりにも多い。最近の研究によると、最も革新的なチームは特定の順序で学習に取り組んでいる。米経営学誌ハーバード・ビジネス・レビューに寄稿した研究者たちは「音楽がリズムとハーモニーに依存しているように、効果的なチーム学習には、体系的に整理され調和のとれた順序が必要」と説明している。さらに、探求(具体的には、実験、他者とともに学ぶ、その学びを応用する)と、構造化された内省(体系的な「振り返り」)を交互に繰り返すサイクルについて述べている。
チームが正しい順序で学習するためにはどうすればいいのか、と思うかもしれない。その答えは、さまざまな段階を通してチームを導き、振り返りの時間を設けるよう促すことだ。そうすることで学びを定着させ、最終的にはイノベーションを促進することができる。
これを実践する方法の例を1つ挙げよう。あなたの会社が、AIを活用した新しい顧客サポートツールをリリースするとしよう。いきなり技術的なトレーニングに入るのではなく、まずはチームで新しいツールをいじり、そのメリットや課題を共有することから始めるといい。その後、より体系的なレッスンに入り(その気になればAIエージェントを活用できる)、あらゆる質問に答え、各従業員がそれぞれの役割に必要なノウハウを身に付けられるようにする。そして週の終わりにミーティングを開き、何がうまくいき、何がうまくいかなかったか、どうすれば改善できるかをチームで話し合う。
このようなサイクルが、単なるビデオのチュートリアルよりもずっと真の習得につながり、従業員が新しいスキルやツールを迅速かつ効率的に日常業務に取り入れるのに役立つことは想像に難くないはずだ。


