「メタ認知」が勝率をあげる
当たる新規事業はほんの一握り。だからこそ、成功の近道は「勝つ確率を極限まで高めること」だと思っています。また、スタートアップで直面する困難の多くも、状況を客観的に捉える──つまり“メタ認知”することで解決できるのではないかと考えています。私はメタ認知が得意で、「メタ認知魔神」と呼ばれたことも。
ビズシークが楽天にグループインしたときがまさにそうでした。同じ1997年にeコマースを始めたのに、たった3、4年で楽天は上場し、私の会社を買う側になっていた。「この差はなんだ」って思いますよね。そのとき、私は状況を客観的にみて、三木谷さんと私の違いは、「事業に対する執着心や勝ちたい気持ちの強さ」なのだと分析しました。
僕にはその圧倒的な気迫はない。だからこそ、確率論で勝負すると割り切ったんです。
確率論をあげる方法はシンプルで、「小さく試す」こと。新しいサービスを思いついたとき、いきなり完璧なものを作ろうとする人が多すぎる。
100人前の料理を作る時、はじめから調味料の量や配分を決めないですよね。少量で味見を繰り返しながら、配合や火加減を調整してレシピを完成させていく。その過程は失敗ではなく、当たり前のプロセスです。
スタートアップも同じで、いきなり全財産を賭けて勝負するのではなく、何十パターンも小さく試して芽が出そうなものを探す。その繰り返しこそが、成功の確率を高める唯一の道だと思います。新規事業のほとんどはうまくいかない。でも、挑戦しなければ成功もない。だからこそ「小さく始め、芽が出るまで続ける」ことが大事なのです。
その他に重要なのが、感情の因数分解です。失敗したときのメンタルコントロールも起業家にとって重要な素養です。
「もう限界」と思うラインを、一段上に置いてみる
感情的に落ち込むのではなく、その感情を分解して分析することが大切です。落ち込む理由の多くは「想定どおりにいかなかった」から。ならば最初から失敗の可能性を理解しておけば、気持ちをコントロールできます。
起業が怖いと感じる人も多いでしょう。怖いという感情のほとんどは、お金の問題と失敗の恥ずかしさに分解できます。だったら「怖くない程度」稼いでおけばいい。いくら稼いでおけば不安がなくなるかを見極め、その手段を模索すればいいんです。手段はバイトでもヤフオクでもなんでもいいわけですから。そういう意味では、守るものが比較的少ない20代は、失敗のダメージが最小限です。


