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2025.09.15 17:15

小澤隆生、成功への近道は「勝つ確率を極限まで高める」こと

Boost Capital代表取締役 小澤隆生

Boost Capital代表取締役 小澤隆生

楽天、ヤフーで要職を歴任し、楽天球団やPayPayを成功に導いた小澤隆生。1999年に24歳で創業したビズシークを楽天に売却後、楽天球団の立ち上げに参画。その後ヤフーに移り常務執行役員、取締役専務執行役員COOを経てトップに就任。

日本のeコマース黎明期から一貫して最前線を走り続けてきた彼の原点は、父親の会社破綻という20歳での逆境から培われた自身の「メタ認知」だった。

2024年にベンチャーキャピタルBoost Capitalを設立し、今度は投資家として次世代起業家を支援する立場となった小澤氏に、世界を変える30歳未満の30人を選出する「30 UNDER 30 2025」のアドバイザリーボードとして、起業家としての成功を目指す人へのメッセージを聞いた。


60億の負債から始まった20代

この記事を読む人は、明確な意志や野望があったり、またそれを探したりしているのかも知れません。ですが私のキャリアは全く逆で、「受け身の偶然」から始まりました。10代の頃は家業の跡継ぎになるものだと思っていたので、将来への自分の希望は特になかったんです。その宿命を嫌だと思ったこともなく、「そういうものだ」と思っていました。だから特に勉強も努力もしていなかった。

ところが20歳の時に父の会社の負債60億を背負うことになった。世界を変えたいとか崇高な志からではなく、純粋に「お金のため」に起業したわけです。市場の成長が見込めたインターネットに着目し、27歳で会社を設立。29歳で楽天に売却するまでが私の20代でした。

私は「起業」を成功の手段として選びました。だからこそ同じ状況にある人に向けてアドバイスを送りたいと思います。

前提として、スモールビジネスを行っている人たちにお伝えしたいのは、スタートアップと優劣はないということです。上場を目指したり社会へのインパクトを与えたいといった高い志でなくとも、自分の力で食べていけること自体がすごいことで、心から尊敬しています。

ただ、それぞれの勝ち方が違うだけです。俗にいうスタートアップ業界は、実は非常に小さな世界。年間にIPOするのは100件に満たず、500万以上ある法人の中のほんの一握りにすぎません。投資を受けて、上場を目指すという特殊な競技での「勝ち方」について、私なりにお伝えできればと思います。

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文=井澤 梓 写真=吉澤健太 編集=川上みなみ

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