ICE(米移民・関税執行局)は、米国内で時に警察以上の権限を行使して移民法を執行する専門機関だ。トランプ政権の「不法移民の大量送還」計画を担う実働部隊でもある。そのICEが、政府契約記録を通じてAIドローンや防弾装備、銃器の調達に動き、大幅強化を進めていることが明らかになった。こうした調達は、大規模な捜査官採用に備える動きであり、任務が一層監視的・戦術的な性格を帯びつつあることを示している。
10万人超が応募したICEの採用計画、背景にトランプ政権の送還公約
「不法移民の大量送還」を公約に掲げるトランプ政権の発足以来、ICEは新規捜査官の採用を急いできた。国土安全保障省(DHS)は8月、ICEの求人に10万人を超える応募があったと発表していた。同局は送還執行官向けの募集を常時行っており、その締め切りを当初の8月から10月末に延長した。「全米各地で多数の空きがある」とサイトには記載されている。
ICEへの武器供給を担う仲介役は、軍需大手のADS
こうした人員拡大の動きに伴い、装備の発注も増加している。先日公開された連邦政府の契約記録によれば、ICEは軍需サプライヤーのAtlantic Diving Supply(ADS)を通じて十数件の発注を行い、火器・戦術プログラム局向けの物資を強化している。
ADSは長年にわたり軍や法執行機関への武器供給を担ってきた企業で、政府機関とベンダーの間で仲介役を果たしている。公開データによると、政府は2024年にADSを通じて40億ドル(約5900億円。1ドル=147円換算)以上の契約を結んだ。弾薬、通信システム、無人航空機などが対象で、その大半は国防総省との契約だった。
約59億円の防弾装備契約を筆頭に、ADSへの発注が相次ぐ
しかし国土安全保障省(DHS)の管轄下にあるICEも、ADSの主要な取引先だ。契約データベースによると、ICEは9月9日、ADSとの間で結んでいた2024年の4000万ドル(約59億円)規模の防弾装備契約を修正し、新規捜査官の大量採用に対応できるよう求めた。ICEはまた、同じ日に300万ドル(約4億円)を投じて新型の銃用照準器を購入した。さらにその前日には、別の契約で55万ドル(約8100万円)分の防弾装備をADS経由で調達していた。



