「絶滅した鳥」の例は、調べればすぐ見つかるほど数多く存在する。2023年の科学研究による推計では、鳥類の種全体の約12%が、後期更新世(12.6万年ほど前から、1.1万年ほど前)以降に絶滅したとされている。
この研究結果では、太平洋地域で絶滅した鳥類が特に多い(絶滅した種のうち、太平洋地域が61%を占める)ことが示唆されているものの、北米大陸でも、多くの種が絶滅している。
かつては米国の地に生息していたが、今では永久に失われてしまった鳥たちの中から、特に印象的な4種を以下に紹介しよう。
1. リョコウバト
リョコウバトはかつて、北米大陸で最も生息数が多い鳥類の一つだった。その個体数は、ピーク時には30億から50億羽に達したと推定されている。
リョコウバトは、渡りの際に巨大な群れを作ることで知られていた。群れが飛来すると、空が数時間にもわたって真っ暗になることもあり、その大きさは数マイルにも達したという記録が残っている。
リョコウバトは群れで暮らす性質を持ち、大きなコロニーで生息し、主に植物の種や果物、ドングリをエサとしていた。食べた植物の種の拡散を助け、北米大陸全土の森林地帯の環境バランスを保つことで、生態系の中で重要な役割を果たしていた。
このように圧倒的な数を誇っていたにもかかわらず、20世紀初頭に急速に絶滅した。その原因は、乱獲の横行や、生息環境の破壊に帰されることが多い。
リョコウバトの個体数減少は、急速かつ壊滅的なものだった。安価な食肉や羽毛への需要により、商業目的の狩猟が盛んになった上に、森林伐採による生息環境の喪失が相まって、個体数は減少の一途をたどった。
19世紀末になると、その数は急減した。オハイオ州にあるシンシナティ動物園では、最後の1羽となったマーサという名の雌の個体が飼育されていたが、1914年に死亡し、この時リョコウバトは正式に絶滅した。



