3. オオウミガラス
オオウミガラスは飛べない海鳥で、かつてはカナダのニューファンドランド島や米国北東部から、北欧の海岸地帯にまたがる、寒冷な北大西沿岸に生息していた。全長約80cmと大型で、白と黒の羽色のコントラストが印象的なオオウミガラスは、泳ぎと潜りに優れ、主に魚類や甲殻類などの海棲生物を捕食していた。
島嶼部の岩場に大きなコロニーをつくり、岩の上に直接卵を産んでいた。こうした生態ゆえに、人間に容易に乱獲されやすい状況にあった。
大部分の海鳥とは異なり、オオウミガラスは飛ぶことができなかったため、人間の狩猟者にとっては容易な標的となった。陸上では機敏に動けないため、捕獲者から逃れられず、個体数も多かったことが、当初の乱獲につながった。
オオウミガラスの絶滅は、その肉や卵、羽根を目当てにした狩猟が第一の要因だった。さらに、寝具や衣服に利用する目的で、綿羽(ダウン)が採取されたことも追い討ちをかけた。絶え間ない狩猟と、人間による営巣地の破壊、さらには、ネズミなど外来種の捕食者の到来により、19世紀初頭には個体数が激減していた。
1844年、アイスランド沖の小さな岩礁で、最後に残っていた1組のつがいが殺された。これが、オオウミガラス絶滅に関する公式の記録となっている。


