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2025.09.13 10:00

SNSが遮断されたネパール、ジャック・ドーシーの匿名メッセージアプリ「Bitchat」がDL数急増

2025年9月9日、ネパールの首都カトマンズで、政府の腐敗とSNS禁止令に抗議するデモ抗議者。(Photo by Subaas Shrestha/NurPhoto via Getty Images)

従来型の通信アプリがサーバーや中央集権型のネットワークに依存しているのと違い、Bitchatのハイパーローカル型のBluetooth Mesh方式は、サービスが遮断されたり監視されたりする状況で威力を発揮する。

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「最悪の場合は、Bitchatが唯一残された通信手段になる可能性もある」と開発者のCalleは、メールでのインタビューで語った。政府の監視や追跡の対象になりやすいプロジェクトであることを理由に匿名で取材に応じた彼は「その点ではビットコインに似ている」と付け加えた。

Bitchatは、ビットコインと同様に検閲を受けにくい仕組みやアクセス性を重視して設計されている。政治的な混乱や金融の抑圧の時代には、中央集権的なプラットフォームを迂回できるツールが真価を発揮する。このアプリは、ビットコインが仲介者を介さずに送金を可能にするのと同様の仕組みを、通信に用いることで、政府がデジタル上のやり取りを制限または監視しようとする状況でも役立つものになっている。ビットコインとBitchatは、同じ理念をそれぞれ異なる形で実現している。

ビットコインなどの送金機能も追加へ

Bitchatは、まだ完成形には至っていない。開発者のCalleは、インドネシアやネパールでの利用例を受け、このアプリにビットコインやEcashを使った金融機能を追加する計画を明らかにした。目標は、既存の基盤と機能を活用して匿名性の高い金融取引を実現し、Eコマースなど商取引にまで対応させることだ。

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さらにCalleは、オープンソースのChaumian Ecashプロトコル「Cashu」を利用し、アプリにビットコインを統合する方針だと語った。このプロトコルは、ユーザーが多様な方法でビットコインを送受信できるようにする仕組みだ。

Calleは、ドーシーがこの新しい通信アプリを公開するよりもはるか前からCashu関連の研究に関わっていた。Cashuを用いれば、絵文字にすらビットコインの額を埋め込むことが可能になる。ビットコインの送金に必要なのは数字と文字だけであり、中央集権的な決済プラットフォームは不要だ。メッセージがネットワークに届きさえすれば機能する。

Bitchatは、ビットコインの「遮断や監視を受けにくい仕組み」と独自の通信基盤を組み合わせることで、混乱期の人々に信頼できるツールを提供する実験を進めている。このアプリはまた、21世紀における新たな形の匿名性の高い安全な商取引を切り開く可能性を秘めている。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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