ワトリングは「価格の違いは、人件費の差、規制要件に伴う保証コスト、ウクライナ企業が利幅をあまり取っていないことを反映しています」と話す。
また、スカイ・センチネルは、レーダーやその他のセンサーからなる多層的な防衛システムの一部に組み込まれているため、スカイレンジャーが備えるような能力をすべて持つ必要がないとも指摘する。
ワトリングは、単純に2桁の価格差という数字が示すほど両者の隔たりは大きくないと示唆し、「欧州の防衛装備はほぼ例外なく割高」だとも述べる。
理由としては、規制上のハードルや、供給業者が、政治情勢が変わっても受注が続くことに自信を持てず、長期の契約に頼るのではなくコストを早く回収したがることなどがある。さらに、たんにできるだけ多く利益を得たいという動機もある。
「企業側が大幅な利幅を取っているという面もあります。そうできる状況にあるからです」(ワトリング)
ドイツにとってこれは問題になりそうにない。ドイツ政府は防衛産業基盤を強化したいと考えているし、国内への支出は雇用の創出や維持につながる。ラインメタルからの調達は政治的に得策に見える。高級なシステムであるスカイレンジャーに高い代金を払うことに反対する声は、ドイツでは皆無なようだ。スカイレンジャーは実証されたソリューションを早急に提供するものであり、その性能の高さを疑う人もいない。また、ゲパルトの成功はこれ以上ない宣伝になった。
ドイツはウクライナと違って、毎晩攻撃にさらされているわけではなく、国を守るためにできるだけ多くの防空砲をかき集めなくてはならないという状況でもない。だが、ひとたび戦争状態に陥れば、ドイツでも優先順位はすぐに変わる可能性がある。ウクライナと同じように、ドイツの国民や政治家も、少数の高級なシステムではなく、スカイ・センチネルのような低コストの対ドローンシステムをできるだけ多く求めるようになるかもしれない。ただ、その時点ではもう手遅れになっているおそれもある。
米国では、全米を弾道ミサイルや巡航ミサイル、さらに長距離ドローンから防衛するために「ゴールデンドーム」計画が進められている。現時点での情報から推測されるところでは、この新たな防空システムは高度で高価なハイテクシステムを組み合わせたものになるようだ。しかし、それが次から次に押し寄せるドローンの波状攻撃に耐えられるほどの持久力を持つのかどうかは、また別の問題になる。


