スカイレンジャーとスカイ・センチネル
ウクライナが対シャヘドの防空能力を強化するために導入している兵器のひとつが、国産のスカイ・センチネル防空銃塔だ。スカイ・センチネルは12.7mm口径の機関銃2丁を搭載した自立型トレーラーシステムで、レーダーではなくカメラとAI(人工知能)ソフトウェアで目標を追尾する。1基あたりのコストはおよそ10万ドル(約1470万円)と、スカイレンジャーの100分の1以下だ。
スカイ・センチネルは小口径なので射程が短い半面、コストは大幅に抑えられている。ラインメタルはウクライナのゲパルト用に35mm砲弾を1発あたり600ユーロ(約10万円)前後で売却したが、供給された30万発は不足してきている。ラインメタルはスカイレンジャー向けに「AHEAD」と呼ばれるより高性能な対ドローン砲弾を提案していて、こちらは1発あたり1000ドル(約14万7000円)以上するとみられる。毎秒20発撃てばコストはたちまち膨れ上がる。
対照的に、12.7mm銃弾はありふれたもので価格も非常に安く、米陸軍が現在支払っている価格は1発あたり2.67ドル(約390円)にすぎない。威力はより口径の大きい銃砲弾に劣るものの、脆いシャヘドを撃ち落とすには十分だ。コストの低さに加え、入手のしやすさも重要だ。誰も、長い戦争の最中に弾薬不足には陥りたくない。
RUSIのワトリングは、スカイレンジャーがより高高度の脅威を含むさまざまな脅威に対処に可能で、単独でも十分機能するのに対して、スカイ・センチネルは、ほかのシステムとネットワーク化された場合に最も高い効果を発揮すると説明する。スカイレンジャーはスカイ・センチネルに比べると照準性能も高く、より広範な気象条件にも対応している。高価な分、より高性能な製品をドイツが取得するのは間違いない。
とはいえ、そこまで高い金額を支払う必要はあるのだろうか。
欧州の防衛装備が割高な理由
ワトリングは、スカイレンジャーとスカイ・センチネルは直接比較できるものではないと言う。ひとつには、ドイツのスカイレンジャーは本土防衛よりも国外派遣部隊による機動戦向けに設計されているということがある。他方、ウクライナのスカイ・センチネルには別のメリットがある。


