欧州

2025.09.12 10:30

ドイツの最新対空砲「スカイレンジャー」は欧州の空をドローンから守れるか

独ラインメタル製スカイレンジャー防空砲塔を搭載したボクサー装輪装甲車(Torsten Pursche / Shutterstock.com)

シャヘドはだいたい時速190km程度、高度約3000m以下で飛行するので、個々の機体を撃墜するのはたいして難しくない。しかし一晩で何百機も飛来すると、それを阻止するのは難題になる。ウクライナが保有する兵器で、これまでドローンの撃墜で際立った成功を収めてきたのが、1970年代に旧西ドイツで生産が始まったゲパルト自走式対空砲だ。戦車のような見た目をしたゲパルトは、35mm機関砲2門を備えた砲塔を搭載し、車両に装備するレーダーの誘導で毎秒20発近い砲弾を発射する。

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ウクライナはドイツからの供与分と、ヨルダンから買い取って米国から供与された分を合わせて、ゲパルトを約120両受け取った。ドイツ連邦軍ではゲパルトは2012年に最後の1両が退役していたが、ウクライナでシャヘドを相手に新たな役割を得ることになった。低速で直線的に飛んでくるドローンはゲパルトの格好の目標になり、いまでは各車両に撃墜を示すマークがたくさんつけられている。ある砲手はシャヘドを28機も撃墜したという。

ゲパルト部隊を率いる指揮官のひとりは、シャヘドに対抗するウクライナの3大兵器は「ゲパルト、ゲパルト、ゲパルト」だと述べている。

ドイツは1980年代にゲパルトの生産を終了していた。その後継となるのが冒頭のラインメタル製スカイレンジャーで、このレーダー誘導式30mm砲塔はドイツ陸軍にとって自然な選択肢だった。スカイレンジャーは1基およそ1200万ユーロ(約21億円)で、パッペルガーは500両超、総額60億ユーロ(約1兆円)超の受注を見込んでいるようだ。

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もっとも、スカイレンジャーの砲塔だけでは十分でなく、それを搭載する車両も必要になる。ドイツ連邦軍は2024年、スカイレンジャーを搭載したボクサー装輪装甲車を19両、1両あたりおよそ3100万ユーロ(約54億円)で発注していた。スカイレンジャーはたしかに有能なハイテクシステムだが、ドローン防衛にこれほど高い費用が必要なのだろうか?

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翻訳・編集=江戸伸禎

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