トランプ関連企業の一部売却を計画も、売却割合や買い手は不明のまま
裁判所が任命した監視人が5月にニューヨークの判事に宛てた書簡によれば、大統領はこの関連企業の一部売却を計画していたとされる。しかし、売却割合や実際に取引が成立したかどうかは不明である。買い手の正体も明らかになっていない。トランプ・オーガナイゼーションは取引に関する質問に回答しなかった(この件をフォーブスの記者が最初に暴露した直後、大統領はTruth Socialで同記者を非難した)。
168億円の負債返済で財務は健全化、総資産は1.2兆円で流動資産も確保
トランプの支持者がリスク資産に殺到する一方で、彼は資金を保守的に運用している。彼は夏の始めに、それまで頭痛の種だったニューヨークの高層ビル「40 Wall Street」にかかる負債1億1400万ドル(約168億円)を返済している。7月にはニューヨークとフロリダの豪邸にかかる推定1500万ドル(約22億円)の小規模なローンも返済した。さらに地方債や社債も積み増している。現在のトランプのバランスシートは過去最も健全であり、負債は推定11億ドル(約1600億円)、総資産は84億ドル(約1.2兆円)に達し、そのうち11億ドル(約1600億円)は流動資産である。
暗号資産が純資産を押し上げ、ミームコイン筆頭に6分野で利益確保
トランプの純資産が急増したのは、主に暗号資産の売却から得た収入による。彼はまだ大量のコインを保有しており、大統領任期中にそれらの売却禁止期間が終わるにつれて、その持分の価値はさらに上昇する見込みだ。以下に、過去1年で彼の資産増に最も貢献したものを示す。
純資産増に貢献した資産の内訳
・ミームコイン:7億1000万ドル(約1044億円)増
・流動資産:6億6000万ドル(約970億円)増
・ライセンスマネジメント事業:4億1000万ドル(約603億円)増
・訴訟勝利:4億7000万ドル(約692億円)増
・WLFIトークン:3億4000万ドル(約500億円)増
・ステーブルコイン:2億4000万ドル(約353億円)増
不動産ライセンス事業も復活、中東やアジアで新規契約を獲得
彼のポートフォリオのほぼすべてが好調である。8月にはニューヨークの控訴裁判所が約5億ドル(約700億円)の詐欺制裁金を棄却した。長年停滞していた不動産ライセンス事業も復活し、サウジアラビア、ベトナム、ルーマニア、インド、カタール、アラブ首長国連邦で新規契約を獲得した。同事業の収益は2024年に推定580%増の4500万ドル(約66億円)に達し、事業価値は4億ドル(約588億円)押し上げられた。米国内でも大統領のゴルフ場・クラブ事業は好調を維持しており、2024年の利益は推定30%増加し、これが彼の純資産を約3億2500万ドル(約478億円)分押し上げた。
巨額の資金が流れ込む中、大統領は近く本来の情熱である建築業に戻るかもしれない。彼と家族は、スコットランドとフロリダのゴルフリゾートに小規模な村を建設する構想を何年も語ってきた。この種のプロジェクトには多額の流動資金が必要だが、トランプには常にそれがあるわけではなかった。しかし今やホワイトハウスを取り戻し、その権力を現金化したことで、彼はほぼ何でも実現できる立場にある。


