北米

2025.09.12 09:00

8月の米CPIは2.9%上昇、次回FOMC前の「最後の判断材料」は市場予想どおりの結果に

Richard Baker / In Pictures via Getty Images

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米労働統計局が米国時間9月11日に発表したデータによると、8月のインフレは予想どおり悪化した。ドナルド・トランプ大統領が発効した関税が引き続き消費者物価を押し上げていると見られる。同データは、来週に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ判断に向けた最後の判断材料となる。

労働統計局が11日に発表したところによると、消費者物価指数(CPI)は前年同月比で2.9%上昇し、7月から8月の1カ月間では0.4%上昇した。これはFactSetがまとめた市場予想と一致している。

食料品やエネルギーといった変動の大きい分野を除いたコアCPIは、前年同月比で3.1%の上昇となり、7月から8月にかけては0.3%上昇した。こちらも市場予想通りの結果となった。

11日に発表されたCPIのデータは、9月17日に予定されている次回FOMC前に発表される最後の判断材料となる。投資家は、昨年12月から据え置かれている4.25~4.5%の政策金利レンジが引き下げられると引き続き楽観視しており、10日に発表された卸売物価の上昇率が市場予想を下回ったことを受け、CMEのFedWatchツールは利下げの確率を100%としている。

FRBは7月の会合で金利を現行の水準に据え置く決定をしたが、理事のうち2人は0.25ポイントの利下げを支持した。トランプから利下げの圧力がかかるジェローム・パウエル議長も先月、ワイオミング州ジャクソンホールでの講演で、「失業率やその他の労働市場指標が安定しているため、政策スタンスの変更を慎重に進める余地がある」と述べ、利下げに前向きな姿勢を示した。

今回のインフレ指標は、予想以上の失業率上昇や過去の雇用統計の歴史的な下方修正に続くものであり、共和党からの批判を招いている。失業率は予想を上回って4.3%に上昇し、非農業部門の新規雇用者数の増加はわずか2万2000人にとどまり、予想されていた8万人や7万9000人を大きく下回った。

今週初め、労働統計局は2025年3月までの12カ月間における雇用者数が従来発表より91万1000人少なかったと報告した。FactSetによれば、これは同局による過去最大の下方修正である。トランプの顧問らは、同局の雇用データの誤りを詳細にまとめた報告書を準備しているとされ、労働省の内部監察官は10日、同局による雇用およびインフレデータの収集方法について調査を開始したと発表した。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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