3. 満たされない好奇心が、予期せぬ欲求を刺激
学習と探求の大きな原動力の1つは好奇心だ。好奇心は新しい情報を求めたり、問題を解決したりする動機となる。そうすることで世界に対する理解も広がる。
だが好奇心が満たされなくなると、知識欲を超えて意外な結果をもたらすことがある。満たされない好奇心は静かにひいていくのではなく、報酬を求める一般化された欲求を生み出す。その結果、人は好奇心を生み出しているものとは関係のない小さな楽しみに没頭するようになる。
簡単に言うと、情報欲が満たされないとき、報酬や満足への渇望を満たす方法として無意識のうちに「小さなご褒美」に目を向ける可能性があるということだ。
この考えは、専門誌『Journal of Consumer Research(ジャーナル・オブ・コンシューマー・リサーチ)』に2020年に掲載された研究でも裏付けられている。
ささやかで無関係な楽しみ
研究者たちは満たされない好奇心の影響を複数の実験を行って調べた。その結果、人々の好奇心が満たされないまま放置されると、報酬を求める一般化された欲求に変化することが改めて確認された。このように報酬を求める欲求が高まると、ごちそうやスナック、手ごろな贅沢品など、ささやかで無関係な楽しみにふけるようになる。
今日、Z世代は絶え間ない過剰な情報やキャリアへのプレッシャー、そして将来への不安で圧倒されている。これにより多くの知的欲求や向上心が部分的に満たされないままになっている。そして満たされない欲求は小さなご褒美への支出に向かう。
明日を見失わずに自分にご褒美を
小さなご褒美は本質的に有害なものではない。安堵感を得たりストレスに対処したりするのに役立つ場合には、有益でさえある。だがこの習慣が、充足感のないまま極端に状態に行き着くと、問題になる。
ストレスへの対処法として即座の満足に過度に依存することは、根本的なプレッシャーへの対処を怠ることにつながる。このような行動が衝動的で意図されたものでなくなると、長期的には経済的な負担が生じ、ストレスと不安が増すばかりといった状況に陥るかもしれない。
そのため、こうしたささやかな楽しみを存分に味わうことが重要になる。バランスを取るには、ご褒美の予算の組み方を学び、長期的な財政計画を立てることだ。投資や貯蓄がどんなに少なくても重要なことだ。
この妥協的な方法では小さなご褒美が与えてくれる安堵感や幸福感を味わいながら、将来に向けて安定と安心感を築くことができる。そうすることで、こうした小さなご褒美は単に新たなストレス原因となるのではなくセルフケアのための前向きなツールであり続けることができる。


