1. 小さなご褒美で即座に満足する
デジタルなしには成り立たない世界においては、即座の満足はもはや異質な概念ではない。SNSはニュースや教育コンテンツ、エンターテインメント、さらには起業家精神など、さまざまな目的のプラットフォームとして機能している。現代人の多くがSNSに夢中になり、「即座に報われること」に慣れてきているのも不思議ではない。
今日、ほとんどすべてのものがクリックするだけで手に入る。アマゾンの即日配達から数分で配達される食品まで、待つことは過去のものになってしまったようだ。私たちは迅速さがあちこちで見られる文化の中に生きている。このパターンは人々の消費行動にも容易に反映される。
専門誌『International Journal of Advanced Research(インターナショナル・ジャーナル・オブ・アドバンスド・リサーチ)」に2024年に掲載された研究では、心理学と行動経済学の知見を組み合わせて、SNSとデジタルプラットフォームが消費者行動にどのような影響を与えるかを調べた。
その結果、消費者の購買行動がより衝動的で感情任せの意思決定へと変化していることが浮き彫りになった。これは、デジタルプラットフォームの即時アクセスや社会力学の影響が大きい。消費者はいま、社会的証明に基づいて何かを購入する傾向が強くなっている。
インフルエンサーの推薦や仲間の動きといった社会的証明は、必要性や価格の合理的な評価よりも購買決定においてより大きな力を持つ。
FOMO(fear of missing out=取り残されることへの恐れ)や物が限られているという希少性を発するメッセージ(「在庫残りわずか」)、高度にキュレートされたSNSコンテンツのような感情に訴えるものが、今日では消費を促す主な要因となっている。
加えて、すぐに満足したいという欲求や、流行っている、あるいは人気のアイテムの価値を過大評価するなどの認知バイアスも大きな役割を果たしている。
全体として、従来の計画的な購買習慣に反して、現代の消費者は純粋に経済的な考慮に基づいて消費することが少なくなっていることが示されている。このことは、小さなご褒美がいかに強化された対処メカニズムとして機能しやすいかを説明している。


