税込12万9800円(256GBモデル)という価格設定は、現在の円安状況を考慮すると決して安くはない。しかし、提供される機能と体験を総合的に評価すれば、コストパフォーマンスは極めて高い。特に、これまでPro専用だった多くの機能がスタンダードモデルに移行したことで、大多数のビジネスユーザーにとって「Pro」の必要性が大幅に下がった。
「迷ったらiPhone 17」という選択は、2025年においては非常に理にかなっている。会社の携帯電話として支給する場合も、個人利用との兼用で購入する場合も、この一台で不満を感じる場面はほとんどないだろう。
iPhone Air:新しい選択肢としての軽やかな提案
一方、まったく新しいカテゴリーとして登場したのがiPhone Airだ。5.64mmという驚異的な薄さは、単なる技術的アピールを超えて、スマートフォンの使い方そのものを変える可能性を秘めている。
ビジネスパーソンの多くは、スマートフォンを一日中持ち歩く。ポケットやカバンに入れている時間、手に持って操作している時間を合計すると、相当な時間になる。iPhone Airの軽さは、この積み重ねられた時間における疲労感を確実に軽減する。
実は物理的には165グラムとさほど軽くはないのだが、大画面ということを考慮すると数字以上に軽いと評価できるだろう。
また、プレゼンテーションの際にiPhoneでスライドを操作したり、展示会で商品説明用の動画を見せたり、あるいは書類の査読や資料の再考を移動する機会が多い人にとっても、軽量性と画面サイズの大きさはアドバンテージとなる。
薄型化と同時に実現された優れたバッテリー持ちも重要だ。アップル独自開発のN1ワイヤレスチップとC1Xモデムの組み合わせにより、従来よりも30%少ない電力で通信が可能になった。これは、一日中外出している営業担当者や、頻繁に出張するビジネスパーソンにとって、「バッテリー切れの心配」というリスクを遠ざける。
今年は全モデル、日本向けはeSIM専用となったが、海外出張が多い人には意外にメリットとなる。物理SIMカードの差し替えが不要で、現地のモバイル通信プランを簡単に追加できるため、海外でのビジネス利用がより柔軟になる。
税込15万9800円(256GBモデル)という価格設定は、iPhone 17との差額を考えると悩ましいところだ。3万円の差をどう評価するかは、個人の価値観と使用状況による。しかし、「薄さ・軽さ」という要素を重視し、さらに「人とは違うものを持ちたい」という気持ちがある人にとっては、十分に魅力的な選択肢となるだろう。
薄型スマートフォンが一般化するかどうかは、まだわからない。しかし新しいもの好きのビジネスパーソンなら、話のネタとしても価値があるかもしれない。なにより話題には事欠かない選択肢だ。


