ニューラリンクとボーリングは依然投機的評価
一方でマスクの小規模な事業、ニューラリンクとボーリング・カンパニーは依然として投機的な取り組みにとどまっている。ニューラリンクは脳への埋め込み型チップの実験を進めているものの、製品を商用化するには至っていない。同社はかつて、動物実験における虐待疑惑をめぐり米農務省(USDA)の監察官室の調査対象となっていた(この調査がトランプ政権下でどう扱われているかは明らかではない)。
PitchBookによると、ボーリング・カンパニーは9億ドル(約1300億円)超を調達したとされる。ただし、完成したプロジェクトはラスベガスのハイパーループトンネルのみだ。この状況でもなおVCは、ニューラリンクとボーリング・カンパニーにそれぞれ96億ドル(約1.4兆円)と57億ドル(約8400億円)の評価を与えている。
マスクはその資産を何に使っているのか?
では、マスクはその莫大な資産を何に使っているのか。「フォーブス400」に名を連ねる散財家たち──ラリー・エリソンはハワイの島を丸ごと購入し、マーク・ザッカーバーグはパロアルトで豪邸を買い漁っている──と比べると、マスクは近年、不動産にはあまり熱心ではなく、ワシントンD.C.に滞在していた時期には、連邦政府の庁舎にマットレスを敷いて寝ていたとも伝えられている。しかし彼は、オースティンでは、14人にのぼるまだ増え続けている子どもたちの一部のために3500万ドル(約51億円)の邸宅を購入した。彼の最大の月々の支出は航空燃料かもしれない。マスクは最近、ロサンゼルスやサンフランシスコ、テキサスを頻繁に行き来し、事業の指揮にあたっている。しかし資産が4000億ドル(約59兆円)を超える富豪にとって、その程度の出費など取るに足らないものだ。


