ウーバーは、自社アプリによるヘリコプターと水上機の搭乗予約を来年から提供すると発表した。ジョビー・アビエーション(Joby Aviation)と提携して提供するもので、ジョビー・アビエーションがエアタクシーサービスのブレード(BLADE Urban Air Mobility)を1億2500万ドル(約184億円)で買収してから1か月後の発表となる。
両社は声明で、早ければ来年にもウーバーの利用者がブレードのヘリコプターと水上機を予約できるようになると述べたが、具体的な開始月は示さなかった。
ブレードは自社アプリで、ニューヨーク都市圏の各地——ニューアーク国際空港、ジョン・F・ケネディ国際空港、ハンプトンズなど——を結ぶ便を提供しているが、新たな提携により既存のウーバーユーザーもこのサービスを利用できるようになる。
ジョビーは8月に1億2500万ドル(約184億円)でブレードを買収しており、このヘリコプター事業を足がかりに自社のエアタクシーサービスを立ち上げる計画だ。
Your next ride is lifting off. @jobyaviation and Uber are excited to expand our global partnership to allow direct booking of @flybladenow flights in the Uber app. Coming soon 🚁 pic.twitter.com/2iXsoKfxvA
— Uber (@Uber) September 10, 2025
ジョビー株価急騰、背後にあるウーバーとトヨタの巨額投資
ジョビー・アビエーションは2021年にSPAC(特別買収目的会社)を通じて上場している。米国時間9月10日の市場寄り付き後に同社株は5.4%上昇した。ウーバーは同社の主要な支援者の1つで、2020年に7500万ドル(約111億円)を出資しており、これはそれ以前のシリーズC資金調達における5000万ドル(約74億円)の投資に上乗せしたものだ。ジョビーはまた、2020年の取引でウーバーのエアタクシー部門であるウーバー・エレベート(Uber Elevate)を引き継いでいる。同社の他の主要支援者にはトヨタが含まれ、2024年に5億ドル(約737億円)超を出資した。
日本やドバイでも始まる? 未来型エアタクシーの計画
ジョビーは、ブレードの「既存のインフラと、垂直航空を大規模に提供してきた10年の経験」を活用し、eVTOL(electric vertical take-off and landing、電動垂直離着陸機)と呼ばれるヘリコプター様の機体による自社のエアタクシーサービスの立ち上げを後押しする計画だと述べた。同社は、ドバイ、ニューヨーク、ロサンゼルス、英国、日本など世界各地でエアタクシーの運航開始を計画している。また同社によれば、ジョビーのエアタクシーはパイロット1人と乗客4人を乗せ、最高時速200マイル(時速約320キロメートル)で飛行できるという。
旅客より臓器輸送で稼ぐ、ブレードのもう1つの顔
南欧のニース、モナコ、カンヌなどでも事業を展開するブレードは、2024年に5万人超の乗客を輸送したと述べている。しかし、同社の収益の大半は旅客航空サービスからではない。その代わりに、移植用臓器を輸送する医療サービスが約60%を占めたと、同社はSEC(米証券取引委員会)への提出書類で明らかにしている。この医療部門はジョビーによる買収対象ではなく、ストラタ・クリティカル・メディカル(Strata Critical Medical)と改称して上場会社として存続した。



