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2025.09.12 13:00

Spotify、高音質オーディオでApple Musicに挑む

JRdes / Shutterstock.com

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Spotify(スポティファイ)は、長らく待たれていた高音質の「ロスレス」オーディオ配信機能の提供をついに開始した。数年にわたる準備を経て、音質で優位性を誇ってきたApple Musicなどの競合と肩を並べることになる。

Spotifyは米国時間9月10日の朝、有料会員向けに、これから10月にかけて50の市場で高音質の「ロスレスオーディオ」の展開を開始すると発表した。米国や英国を含む一部の国では、すでに利用が始まっているという。

ロスレスオーディオとは、音楽の品質がオリジナルの録音と一致し、ストリーミングサービスによって圧縮や劣化が生じないことを意味する。Spotifyは、この新機能によりリスナーは「音楽のあらゆるディテール」を聴き取れるようになると述べている。

サブスクリプション担当副社長のグスタフ・ギレンハンマーはニュースリリースで「長らくお待たせしました」と述べ、Spotifyは「品質、使いやすさ、そしてあらゆるステップでの明確さを最優先する形でこの機能を構築するために時間をかけてきました」と語った。

ロスレス対応は、ファンから長年強く求められてきた機能だ。報道によれば、Spotifyは早くも2017年にこの機能のテストを行っており、2021年には年内の提供を約束したものの、2022年に無期限延期になっていた。

ロスレス音質を楽しむには設定の変更が必要

Spotifyのユーザーは、設定で手動でロスレス音質を有効化する必要がある。同社によれば、この機能はSpotifyを使用する各デバイスごとに有効化する必要があり、ロスレスをダウンロード済みの楽曲に適用するか、Wi‑Fiまたは携帯電話回線によるストリーミングに適用するかを指定できる。また、ロスレス音質はBluetooth接続ではサポートされないため、有線ヘッドホンまたはスピーカーでの再生を推奨するとしている。

これがApple Musicの音質への挑戦となる理由

Apple Musicの熱心なユーザーは長らく、音質の点でSpotifyを上回ると主張してきた。しかしSpotifyがロスレス音質を展開すれば、Apple MusicやTidal(タイダル)、Amazon Music(アマゾン・ミュージック)と同等の高音質をついに提供できることになる。加入者数においてSpotifyと最も近い競合であるApple Musicは、2021年からロスレス音質を提供している。一方、加入者数ではSpotifyが依然として優位にある。

Spotifyは7月の決算報告で世界の加入者数が2億7600万人だと発表し、ウォール・ストリート・ジャーナルは7月、同社が世界最大の音楽ストリーミングサービスであり、米国の音楽ストリーミングの3分の1超を占めると報じた。Apple Musicは加入者数を公表していない。ただし、ユーザーや製品レビューでは、優れた音質がApple MusicのSpotifyに対する大きな強みだと長らく指摘されてきた。両者を比較したCNNのレビューは、Apple Musicの音質は「Spotifyに対する大きな優位点」であり、「多くのリスナーにとってApple MusicのほうがSpotifyよりよく聴こえるはずだ」と述べる一方、Spotifyのナビゲーションのしやすさや「Spotifyまとめ」といったカスタム機能を評価した。なお、Apple Musicは、音が全方位から聴こえるように感じさせる空間オーディオといった、Spotifyにはまだない高度な機能も提供している。

また、Spotifyは数週間前に、アプリ上でユーザー同士がメッセージを送り合い、楽曲やポッドキャスト、オーディオブックをレコメンドできるようにすると発表している。さらに8月初旬には、プレイリスト内の曲間にユーザー自身が独自のトランジションを作成できる機能を導入した。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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