AI

2025.09.12 12:00

日本の高齢者市場が狙い、兼松と米Intuition Roboticsが日本版AIコンパニオンを共同開発

AIコンパニオンロボット「ElliQ」(C)Intuition Robotics

生成AIの搭載で会話能力が飛躍的に向上

大規模言語モデル(LLM)の登場により、ボットと人々の関係が変わり始めたときに、Intuition Roboticsはすでに経験豊富で影響力のあるAIコンパニオンを用意していた。同社の共同創業者でCEOのドール・スクラーは、昨年の筆者の取材に「生成AIは私たちの暮らしを根底から変える」と語っていた。同社のElliQは、個人のニーズに最適化されたAIのように、あらゆるテーマの会話が可能で、「汎用的なLLMとは違って常にコンテキストに沿った会話が可能だ」とスクラーは述べている。

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介護者向けアプリやウェルネスコーチ機能を追加

Intuition Roboticsはまた、今年初めに「Caregiver App(ケアギバーアプリ)」を立ち上げた。これは米国で4800万人にのぼる、親や家族などに無償で介護を行う人々が、遠隔でそのプロセスを管理・把握できるようにするものだ。さらに同社は数カ月前には、ElliQの利用者がエクササイズや認知トレーニング、ストレス軽減、睡眠の4つの分野のウェルネス目標を設定・管理・調整できる機能を持つ「ウェルネスコーチ」も導入した。多くのウェルネスアプリは1カ月後も利用を継続する顧客がわずか3〜4%にとどまるが、ウェルネスコーチは87%が継続して利用している。また、3カ月後でも76%が利用を続け、35%はすでに目標を達成したか、もしくは上回っていることが明らかになった。

長期的な事業構築を目指す企業哲学が、日本の価値観と共鳴

スクラーは自社の科学的アプローチについて、筆者にこう語った。「私たちは短距離走をしているわけではなく、手っ取り早く儲けようとしているのでもない。当社は、長期的な事業を築こうとしているのであり、どれだけ時間がかかろうともやり遂げるつもりだ」

この発言は、長期的な安定と忍耐を高く評価する日本の経営者からよく聞かれる言葉を思い出させるものだ。Intuition RoboticsがElliQのローカル版を共同開発する初めてのパートナーを、日本市場で見つけた理由の一端がここにあるように思える。

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世界一の高齢化率と深刻化する孤独問題、政府主導の対策も追い風に

ただし、同社の日本での取り組みには、大きなビジネス上の根拠がある。日本では、65歳以上の高齢者人口が増加を続けており、2024年には約3600万人に達し、総人口の29.1%という世界で最も高い割合となっていた。また、政府の高齢社会白書によると、2018年と比べて孤独を感じる高齢者は増えている。

さらに日本政府は、2021年に「孤独・孤立対策担当大臣」を任命し、その翌年にはこれらの問題を正式に国家的課題に位置づけ、地方自治体に対策を義務づける法律が制定された。

その結果、日本では孤独やメンタルヘルスの支援、さらには認知症のケアに対応するオンラインチャットボットやAIアプリの利用が広がっている。つまり、日本とその高齢化した社会は、ElliQを受け入れる準備が整っている。

forbes.com 原文

翻訳=上田裕資

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