30U30

2025.09.12 16:00

海外ユーザー98%、日本発のメタバース英会話アプリ(野原樹斗):30UNDER30

野原樹斗|fondi 代表取締役CEO

野原樹斗|fondi 代表取締役CEO

2025年8月25日発売のForbes JAPAN10月号は「30 UNDER 30」特集。30歳未満の次世代をけん引する若い才能に光を当てるアワードで『Forbes JAPAN』では18年より開催し、7年間で総計300人を選出してきた。今年も4つのカテゴリから30人の受賞者を選出。

BUSINESS&FINANCE&IMPACT&LOCAL部門で選出されたひとりが、野原樹斗だ。世界196カ国で200万ダウンロードされるメタバース英会話アプリを開発。「言語」を武器に、途上国600万人の収入を底上げを目指す。


インドネシアに住む24歳のエンジニア、ヴィーはより給料が高いグローバル企業への転職を希望していたが、英語での面接をクリアすることができず、挫折していた。そんなときに出会ったのが、メタバース英会話アプリ「fondi」だ。

メタバース上の街に英語の非ネイティブ学習者が集まり、3Dアバターを使って趣味や英語学習など、興味のある話題を好きな時間に好きなだけ話す。広告を見れば無料だ。気づいたら毎日6時間スマホに向かっていた。fondiで英語への苦手意識を克服したヴィーは、希望のグローバル企業への転職に成功、給与は前職の3倍にもなったという。

「我々にとっての『毎月の飲み代』が月収の人も世界にはいる。そういった人たちも、携帯ひとつあればグローバルに活躍して人生を変えていけるような“言語”を武器にできる場所をつくりたい」。fondiの創設者で代表取締役の野原樹斗はそう語る。

リリースから5年で世界196カ国、200万ダウンロードを達成。ユーザーは、インドネシアが22%、バングラデシュ、パキスタン、インドが各10%と続く。21年、インドネシアのTikTokerに紹介され、爆発的にユーザー数が増えた。

24年により熱心なユーザーが報奨を受け取れるゲーミフィケーションの要素を加えたことで、滞在時間と継続率が格段に伸びた。利用時間のトップ5-10%のユーザーは、1日3時間以上をfondi上で過ごす。彼らが初心者をサポートしたり、会話やイベントの進行をすることで、fondi内でのランクが上がり、学習証明書がもらえる。

野原が今、最も注力するのが、fondi内で熱心な英語学習ユーザーたちが「稼げる」仕組みだ。「バディ」として英会話学習者をサポートしたり、英会話スクールなどの企業や大学との共同企画への派遣なども行っている。さらに、fondi上で「課金サロン」も開設できるようにしていく。

「環境のせいで機会を得られなかった人たちの人生を変えたい。主要ターゲット8カ国6億人のうち、会話時間のトップ1%の年収を20%上げるのが目標。そして1200億円の経済圏を生み出したい」

世界を変えうる30歳未満にフォーカスする企画「Forbes JAPAN 30 UNDER 30」、8年目となる今年は30人を選出。これからの未来をつくる彼ら・彼女らが描く「希望」と「新しい未来」へ、ようこそ!

【30 UNDER 30 特集号が現在発売中 / 受賞者一覧を特設サイトにて公開中


のはら・たつと◎1996年、茨城県生まれ。高校卒業後、英国ウォーリック大学に留学。在学中の2017年に、留学サポートサービスを手がけるCompass Pioneeringを創業。19年にメタバース留学体験サービス「fondi」をリリース。ANRIをリードインベスターに累計4.2億円を資金調達。

文=岩坪文子 写真=帆足宗洋(AVGVST) スタイリング=鹿野巧真 ヘアメイク=MIKAMI YASUHIRO

タグ:

連載

「30 UNDER 30」2025

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事