クラウドコンピューティング大手のオラクルで会長を務めるラリー・エリソンは米国時間9月10日、自身の純資産を約1000億ドル(約14兆7400億円)増やし、イーロン・マスクの資産額に迫った。同社の株価が急騰し、日中の上昇率としては過去数十年間で最大となったためである。
オラクルの株価は10日の午前に38%急騰して約334ドルとなり、取引開始時と日中の取引で過去最高値を更新した。これは1992年12月に株価がわずか0.60ドル強で取引されていた当時の43%に次ぐ上昇率となった。
この急騰により、オラクルの時価総額は9日の終値ベースで6784億ドル(約100兆200億円)だったものが、10日には約9400億ドル(約139兆円)となった。
市場が注目したのは、オラクルが9日に発表したクラウドインフラ収益の見通しである。CEOのサフラ・キャッツは、同収益が今会計年度に180億ドル(約2兆6500億円)へと拡大し、2027年度にはほぼ倍増して320億ドル(約4兆7200億円)、そしてその後の3年間で730億ドル(約10兆7600億円)、1140億ドル(約16兆8100億円)、1440億ドル(約21兆2300億円)に成長すると述べた。
オラクルはまた、未計上の契約収益である残存履行義務(RPO)が359%増加し、4550億ドル(約67兆900億円)となったと報告した。キャッツによれば、同社が今四半期中に3つの異なる顧客と数十億ドル規模の契約を4件締結した結果だという。
同社の株式を約41%保有するエリソンは、世界で2番目に裕福な人物となり、その資産は3918億ドル(約57兆7700億円)と推定されている。彼の持分は、9日の終値時点での2797億ドル(約41兆2400億円)から、10日には約3770億ドル(約55兆5900億円)に増加した。一方、マスクは依然として世界一の富豪であり、その純資産は4363億ドル(約64兆3300億円)と推定されている。
オラクルの決算説明会では、複数のアナリストが同社のクラウドコンピューティング事業の見通しを称賛した。
ドイツ銀行のアナリスト、ブラッド・ゼルニックは「非常に良い意味で皆がショックを受けていた」と述べ、「コンピューティングの世界で地殻変動が起きていることを示す何よりの証拠だ」と強調した。TDコーエンのアナリスト、ジェームズ・ウッドは、オラクルのRPOの成長について、「本当に驚くべきことだ」と述べ、同社が「画期的な四半期」を達成したと評価した。グッゲンハイム証券のアナリスト、ジョン・ディフッチは「今後の見通しには圧倒された」と述べ、さらにオラクルの見通しについて「特別な事がまさに今起きていて、本当に素晴らしい」と語った。
オラクル株は歴史的な株価急騰を見せた一方で、同社の第1四半期決算における売上高と利益は市場予想を下回った。FactSetによれば、同社のEPS(1株あたりの純利益)は1.47ドル、売上高は149億ドル(約2兆2000億円)であり、市場予測のEPS1.48ドル、売上高150億ドル(約2兆2100億円)をわずかに下回った。



