ヒトは、生まれつきの雑食動物だ。私たちの歯と消化器は、進化を通じて、動物質と植物質の両方を食べるのに適した形態や機能を備えるようになった。
初期人類の研究から、私たちの祖先の食性も、果実、野菜、肉といった多種多様な食料で構成されていたことがわかっている。要するに、ヒトが健康を維持するには、植物と動物に含まれる栄養がどちらも必要なのだ。
だが、すべての動物がそういうわけではない。極端なまでに特殊な食性をもち、どんなにつつましい食生活を送る人でさえ恥じ入ってしまいそうな動物もいる。動物界の究極の偏食家と呼ぶべき5種を、以下に紹介していこう。
1. チスイコウモリ:血液だけで生きる哺乳類

ほとんどの脊椎動物は、液体だけの食事では生きていけない。だが、ナミチスイコウモリ(学名:Desmodus rotundus)を含む3種のチスイコウモリは、哺乳類のなかで唯一、血液だけを食料として生きている。
中南米に広く分布するナミチスイコウモリは、この特異な採食戦略で生き抜けるよう、さまざまな適応形質を進化させてきた。
ナミチスイコウモリは、鼻に感熱センサーをもち、これを使って獲物の皮膚表面に近い血管の位置を特定する。そしてカミソリのように鋭い門歯(前歯)で、精密かつ痛みを与えずに皮膚を切開する。唾液には強力な抗凝血成分が含まれるため、舐め取っているあいだに血液が固まることはない。
血液だけを食料として生きるのは生理学的に極めて難しいが、ナミチスイコウモリは、血液の消化に特化した、超高速の代謝を進化させた。彼らはほんの数分で、アミノ酸に含まれるエネルギーの最大60%を取り込むことができるが、これほどの代謝能力は、ほかのどの哺乳類にも見られない。
だが、血液食のスペシャリストであることは、極めて高い餓死リスクと隣り合わせでもある。ナミチスイコウモリは、丸2日食事を取れないと死の危険に直面するのだ。
そこで彼らは生き延びるため、互恵的利他行動を実践している。同じねぐらを使う仲間が飢えているときには、自分が吸った血を吐き戻し、口移しで与えるのだ。このような複雑な社会行動は、動物界では極めて珍しい。
2. コアラ:「毒」を食べて生きる偏食家

コアラ(学名:Phascolarctos cinereus)もまた、極めて特殊な食性をもつ動物であり、ほぼ完全にユーカリの葉だけを食べる。ユーカリの葉は栄養価が低く、また有毒であるため、ほとんどの動物には消化が困難だ。
しかし、コアラの消化器はユーカリ食に高度に適応しており、例えば盲腸と結腸が巨大化している。これにより、ユーカリの葉に含まれる化学物質を解毒し、十分な栄養を抽出できる。
それだけでなく、コアラが食べる種のユーカリはごく限られていて、ただでさえ特殊な食性をさらに狭めている。1993年8月に学術誌『Australian Mammalogy』に掲載された論文によれば、オーストラリアに分布する600種以上のユーカリのうち、コアラの主食となるのは約30種だけだ。特に、Eucalyptus microcorys(ユーカリ・ミクロコリス)、E.tereticornis(ユーカリ・テレチコルニス)、E.camaldulensis(ユーカリ・カマルドゥレンシス)といった種が好まれていた。
このように限られた食料源に依存するためコアラは、生息地の喪失やユーカリの分布変化の影響を受けやすい。



