今年1月にグループ再編で誕生したGMOインターネット。インフラ事業をけん引してきた新社長は、徹底したシェア1位を追求していく構えだ。
今年1月1日、注目の再編があった。GMOインターネットグループは、インフラ事業を分割して、連結会社のGMOアドパートナーズに継承。同社は社名変更し、新たにGMOインターネットが誕生した。これによりGMOインターネットグループは持ち株会社になり、新生GMOインターネットが、広告メディア事業とインターネットインフラ事業を統合して展開することに。市場は再編を評価して、GMOインターネットの株価は急騰。5月26日には年初来最高値3675円をつけた。代表取締役社長の伊藤正に再編の背景と展望を聞いた。
──グループ再編の狙いは。
伊藤正 (以降、伊藤):GMOインターネットグループが自ら事業をもつことは、グループ119社に対して背中を見せるという意味でメリットが多かった。グループ代表の熊谷(正寿)も、「自分が事業をやらないと説得力が出ない」と常々話していた。
しかし、グループとして100年単位で繁栄を目指すステージに入り、持ち株会社体制に移行したほうがいいという判断になった。グループの事業会社で成長を担い、持ち株会社は経営管理、そして 新規事業など個社でやりづらいことに挑戦していく。
──自身は直前までGMOインターネットグループでインフラ事業を統括していた。再編をどう受け止めたか。
伊藤:インフラ事業の責任者として、グループ側を見て仕事するのか、それとも事業に集中して仕事をするのか、ここ数年は曖昧な面があった。再編で、この問題は解決できると思った。
──事業を切り出すにしてもさまざまなやり方がある。なぜGMOアドパートナーズと一緒になることに。
伊藤:新会社として独立して将来上場を目指す道もあった。しかし、上場を目指すには事業とは別のパワーを要する。そこに力を費やすなら、最初から上場会社と組んで事業の成長に集中したほうがいい。資金調達やメンバーの安心感の面で、上場会社と一緒になるのはいい選択だった。
──グループに上場連結会社が9社。なぜ広告メディアの会社と組んだのか。
伊藤:インフラ事業と広告メディア事業はシナジーが大きい。インフラ事業はマーケティングが重要。SNSの縦型動画による集客など、広告メディア事業のメンバーがもつ高度な知見が加わることで営業力の強化が期待できる。
一方、広告メディア事業は過渡期だ。AIの進化で、広告媒体がクライアントと広告代理店を飛ばして直接やりとりする動きが強まった。広告代理店は今後、クライアントに広告支援のツールやサービスを提供するモデルになっていく。そのときインフラ事業820万件の顧客資産が 生かせるはずだ。



