働き方改革の推進などにより、大手企業を中心に職場環境を大胆に変えるオフィス改革が進められてきたが、中小企業にもその流れが広がっている。自分の机を持たないフリーアドレス制などの新しいオフィス環境が、経営資源に余裕のない中小企業においてどれほどの効果があるのだろうか。
経営コンサルティング企業フォーバルが運営し、中小企業のグリーンなDX支援を行うフォーバル GDXリサーチ研究所は、東京都内の中小企業経営者118人を対象に「中小企業の働く場の在り方」に関するアンケート調査を実施した。それによると、中小企業のおよそ半数がオフィス改革を実施していたことがわかった。

同研究所によれば、オフィス改革とは、働きやすい広さや動線の確保や最適化、デジタル技術を含めた業務インフラの整備など、職場の環境整備だと説明している。フリーアドレス制やそれにともなうコミュニケーションツールの導入などもオフィス改革と言える。では中小企業経営者たちは、何を目的にオフィス環境の整備を行ったのか。

そのトップは業務生産性の向上だった。以下、割合は小さくなるが、エンゲージメント、社内コミュニケーションの向上、採用の強化などとなった。実際の効果をたずねると、業務生産性では「とても」と「ある程度」をあわせてじつに8割を超える経営者が「効果があった」と答えた。コミュニケーションは7割強、エンゲージメントは約6割、採用も6割近い。

どの程度の整備を行ったかによるだろうが、やればそれなりに効果があることが想像される。オフィス改革などは体力に余裕のある大手企業がやるものと考えているとしたら、ちょっと違う。同研究所の平良学所長は、職場環境は「業務生産性や人材育成、円滑なコミュニケーションによるチームワークの醸成など、さまざまな側面から経営に影響を与える重要な基盤」であり、「限られた経営資源を活用する中小企業はなおさら」だと話す。やる価値はあるようだ。



