なかには負の感情が反映されたものも

4位のタケコプターには「空を飛んで登校したい」「空を飛ぶことにロマンを感じる」という声が寄せられた。
5位の四次元ポケットは「なんでも入れられる」「家の整理に使える」「断捨離に役立つ」という片付けに関する声が多かった。家族から「捨てなさい、整理しなさい」と言われるが捨てたくないものが多いのか、または単に面倒臭いのか。
6位のタイムマシンでは「過去に戻ってやり直したい」「全く違う人生を歩んでみたい」「記憶を持ったまま過去をやり直したい」という声が目立った。
7位どくさいスイッチは「嫌いな人を消したい」「みんながうざい」「この世を破壊したい」と負の感情が反映されていた。リサーチ側も「現実社会に対する不満や孤立感が表れた結果」とコメントを添えている。
続いて8位は「スモールライト」、9位に「透明マント」、10位は「ほんやくコンニャク」。10位の「ほんやくコンニャク」は現在のAIとほぼ同じ役割を持つ道具だ。そう考えると、他の道具も非現実的ではないのかもしれない……とこれまた夢想が続く。
若者のタイパ志向と万能願望
総合的に見れば、高校生たちの願望は「タイムパフォーマンス」への徹底したこだわりと、「もしもボックス」に象徴される万能性への憧れというふたつの軸に収れんしている。移動の時間を短縮したい、勉強を効率化したいといった「最短で結果を得たい」という欲望と、世界そのものを自分仕様に変えたいという願望。どちらも現代の若者世代のリアルな価値観であり、今後の消費行動や働き方を大きく左右するだろう。
現在すでに成長が進んでいるサービスやシステムとして、効率性を高めるモビリティやオンライン授業などのEdTech、万能性を疑似的に実現する生成AIやメタバース、安心感を提供するメンタルケアサービスなどがある。高校生の「ひみつ道具願望」は、単なる夢物語ではなく、未来のマーケティングを考える上での確かなヒントとなるはずだ。
出典:ワカモノリサーチ


