トランプ政権は、米国労働統計局(BLS)が過去1年間の雇用データを修正し、当初の報告よりも約100万件少ない雇用増加にとどまったと米国時間8月9日に発表したことを受け、同局の信頼性に疑念を投げかけた。これは、トランプ大統領が同局に新たな指導者を求める中で以前から主張してきた内容を反映するものである。
J・D・ヴァンス副大統領は「BLSのデータがいかに役に立たなくなったかは言葉に尽くせない」と述べ、この修正により「その信頼が回復するだろう」と指摘した。彼はまた、連邦海軍信用協同組合連合のチーフエコノミストであるヘザー・ロングの投稿をリポストした。ロングは、その修正により「関税が発動する前から労働市場が弱かったことが示された」と述べていた。
ホワイトハウスの報道官キャロライン・レヴィットも、BLSが「米国国民を裏切った」と非難した。しかし同時に、2024年4月から2025年3月までの間に、米国経済が従来の報告より91万1000件少ない雇用しか創出していなかったことを示す今回の修正報告について、「トランプ大統領が正しかったことを証明した。バイデンの経済は大失敗であり、BLSは機能していない」と主張した。
レヴィットは声明の中で「このように大規模かつ一貫した誤差を許す余地はない」と述べた。ただしロングが指摘したように、BLSは毎年データを改訂しており、大規模な修正の主な原因は「パンデミック以降に新規開業・閉鎖した企業の把握に問題があること」にある。
ロリ・チャベス・デレマー労働長官も、データが大幅に修正された責任はバイデン政権にあると非難し、バイデン在任中にBLSの指導部が「手法を改善できなかった」と述べ、「その怠惰さの背後にある動機に疑問」を投げかけた。
こうした批判はトランプ自身の主張とも重なる。今年初め、トランプは当時のBLS長官エリカ・マクエンターファーを解任し、2024年の選挙期間中にバイデンを助けるために雇用データを操作したと彼女を非難していた。
BLSは9日に予備報告を公表し、2025年3月までの1年間で84万9000件の雇用が追加されたと発表した。これは176万件の新規雇用を示していた従来のデータから大幅に減少した数値である。米国財務省および主要米銀のアナリストらはこの修正を予測しており、これは前年の年次データに対する修正(雇用増加が81万8000件下方修正された)よりもやや大きかった。
一部のエコノミストは、トランプによる批判に対してBLSを擁護している。全米企業エコノミスト協会は声明で「BLSおよび各連邦機関で尽力するエコノミストと統計専門家を断固支持する」と表明した。
なお、議会はまだ、マクエンターファーの後任としてトランプが指名したヘリテージ財団チーフエコノミストのE・J・アントニーを承認していない。



